米国株に割高感なし?ナスダック100指数ベースでは増益続く

 8月までのナスダック相場(IT関連の株高)を「2000年初のITバブル崩壊直前と同じ」とみる悲観論があります。

 ただ、当時のS&P500指数ベースの予想PERは約25.5倍に拡大し、同時期に長期金利は6.7%まで上昇しました。当時の益利回りスプレッドは最大で+2.8%まで拡大し「株式が債券と比較して極めて割高となった」経緯がわかります。

 FRBが1999年6月から4回にわたり利上げを実施していた「金融引き締め局面」であった状況は現在と異なる状況です(現在は緩和局面)。

 一方で、現在の予想PERは約22.8倍(株式益利回りは約4.4%)で、長期金利は約0.7%で推移しています。したがって、益利回りスプレッドは「▲3.7%」と低水準にあります(9月11日)。

 1992年以降の益利回りスプレッドの算術平均(▲2.1%)と比較すると、「米国株式は債券と比較して割高(非合理)」とは言えない状況です。

 ナスダック(IT系)主力株を中心に米国市場(S&P500指数)の業績が改善傾向をたどるなら、株価に上昇余地が見込めると思われます。

 なお、S&P500指数ベースの2020年のEPSは前年比減益(▲14.1%)で着地しそうですが、2021年予想EPSは増益(+26.6%)で過去最高益を更新すると見込まれています(市場予想平均)。

 ナスダック100指数ベースのEPSは、2020年でさえ前年比増益(+9.3%)、2021年も増益(+20.4%)と最高益更新が予想されています。

 FOMCでFRBが示唆した「低金利環境の長期化(過剰流動性相場)」を想定するなら、GAFAMなどIT主力株の堅調に「景気敏感株」の業績回復が加わることで、米国市場は利益(EPSの)拡大に応じた株式堅調を続けると見込んでいます。

 そうした観点で、10月に発表される主要企業の第3Q(7-9月期)決算とガイダンス(業績見通し)が注目されます。総じては、「選挙動向」よりも「金融環境とファンダメンタルズ(業績動向)の動向」が重要と思われます。

 短期的な政治イベントである大統領選挙を消化すれば、米国株式が「年末高」に転じる可能性があるとも予想しています(米国株式市場の季節的傾向に合致します)。「リスクはリターンの源泉である」との言葉もあります。

 選挙を控えた思惑で9月や10月に株価が下落する場面は、中長期の視野に立った投資姿勢(買い持ち)や押し目買いに分があると考えています。

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