「益利回りスプレッド」でチェックする米国株式のバリュエーション

 上述のように、米国株式が10月に波乱含みとなる場合、どのような投資戦略で対応することが妥当でしょうか。

 図表4は、比較的簡便なバリュエーション手法として知られる「益利回りスプレッド」(債券利回り-株式益利回り)で米国株式の水準分析をしたものです。この分析は、FRBが1997年に議会に提出した報告書に盛り込まれた指標で「FEDモデル」と呼ばれてきました。

「株式益利回り」とは、予想PER(株価収益率)の逆数で、株価に対する予想EPS(12カ月先予想1株当り利益/市場予想平均)の利回りを示します。

 米長期金利(10年国債利回り)と株式益利回りの差(=益利回りスプレッド)を試算し、その相対的な高低から「債券と比較して株式が割高」なのか「債券と比較して株式が割安」なのかを分析する手法です。

 このモデルでは、益利回りスプレッドが高いほど「債券と比較して株式が割高」と判断され、同スプレッドが低いほど「割安」と推定されます。

<図表4>「益利回りスプレッド」でチェックする米国株式の水準感

*益利回りスプレッド=長期金利-株式益利回り(予想EPS÷S&P500指数)
*予想EPS=12 months forward looking EPS(12カ月先予想EPS:市場予想平均)
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1992年1月初~2020年9月11日)