過去の米大統領選の「サプライズ」をチェック

 想定される範囲内で「トランプ再選見通し」が高まれば市場が好感する可能性があり、「危険なサプライズ」に直面すれば悪材料となる可能性があります。

 過去の大統領選挙直前(10月)のサプライズ事例は多々あり、本選挙に影響を与えました(図表3は過去の参考例です)。

 今後、トランプ陣営がどのような「サプライズ」を打ち出すかについては、下記する観測があります。
(1)バイデン候補と民主党に対するネガティブキャンペーンを激化させる
(2)9月29日から3回実施されるTV討論会でバイデン候補を容赦なく追い詰める
(3)新型ウイルスに効果のあるワクチンの量産・配布を発表する
(4)イスラエルとアラブ諸国の国交正常化や米朝関係を進展させ外交面の成果を誇る
(5)中国に対する強硬姿勢(新型コロナ発生の責任、香港情勢、南シナ海・台湾海峡問題)を強め、「戦時の大統領」をアピールする

などです。

 これらのうち、(5)は中国政府の出方次第で米中対立が激化し、地政学リスクに発展することで株式が下落する可能性に要警戒です。

 トランプ大統領は、一時的な株価下落よりも、自身の「再選」を優先しあらゆる手を尽くすと考えられます。

 逆に、バイデン候補が優勢のまま本選挙を迎える場合、または、当日以降も勝敗が決着しない(トランプ大統領が敗北を認めない)場合には株式市場が波乱含みとなる可能性があります。

<図表3>過去の「オクトーバー・サプライズ」(参考情報)

出所:各種の報道や情報より楽天証券経済研究所作成