「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第52回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ
S社の1999年3月から2000年7月までの株価チャートをご覧ください。以下の説明文を読んだ上で、S社をここで買ってよいか買うべきでないか、判断してください。S社は実在の上場企業です。
<S社株価チャート:1999年3月~2000年7月>

- S社事業内容
観光ガイドブックなど出版事業を行っているが、これから電子地図事業を本格展開する。2000年時点で、電子地図で詳細な全国地図を完成して本格展開しているのは、S社とライバルのZ社の2社のみ。 - 1999年に株価急騰
S社株は、1999年にインターネット・コンテンツ関連株として急騰した。電子地図事業はまだ赤字だったが、インターネットが本格的に普及する時代に急成長が見込まれていたので、インターネット関連株ならなんでも急騰する「ITバブル相場」で株価が急騰した。 - 2000年に株価急落
2000年に入ってから、1999年に急騰した「IT関連株」が一斉に暴落し、「ITバブル崩壊」と言われた。その中で、S社株も急落した。
1999年の「ITバブル相場」を振り返る
1999年は「IT(通信技術)革命」という言葉がはやり「ITに乗り遅れるな」という熱気が世界中に広がりました。そういう熱気の中、日本および欧米の株式市場で「ITバブル相場」と呼ばれる極端な二極化相場がありました。IT関連株・インターネット関連株が軒並み急騰する中、IT関連ビジネスをやっていない銘柄は軒並み売られました。
まだ利益が出ていない売上100億円にも満たない新興IT企業が、とんでもない高値に値を飛ばしました。一方、安定高収益をあげている老舗大企業でも、ITに関連するビジネスをやっていないと軒並み売り込まれました。
ただし、そういう極端な二極化は長続きしませんでした。2000年に入ると、IT関連株は軒並み急落して、「ITバブル崩壊」と呼ばれました。2001年に、米国・日本は「ITバブル崩壊不況」に入りました。
今、「ITバブル」と「ITバブル崩壊」を振り返ると、次のことが言えます。
- ITが世界を変える、という考えは正しかった。
- 株式市場は、先走りし過ぎていた。まだ利益がほとんど出ていないIT関連株を、とんでもない高値まで買い上げたのは間違いだった。
あれから24年がたちました。IT革命→インターネット革命→AI(人工知能)革命と、言葉は変わっていったものの、ITやAIを使った産業革新は一段と加速しています。これからも、IT、インターネット、AI関連株の成長は続くと考えられます。
ただし、株式市場は往々にして「先走りする」「行き過ぎる」ので、これからもバブル・バブル崩壊を繰り返す可能性があり、注意が必要です。