米国株、好調の8月。そして、急落。どうなる?
米国市場で7月に5.5%上昇したS&P500指数は8月も7.0%上昇。8月としては1984年以来の高上昇率を記録し、同指数の年初来騰落率は+10.8%となりました。
ナスダック総合指数も最高値を更新し、31日に大幅銘柄入れ替えを完了したダウ平均も2万9,100ドルに上昇。ダウ平均は2月12日に付けた最高値(2万9,551ドル)まで約450ドルに迫りました(9月2日)。
米金融当局によるリフレ的金融緩和の長期化観測、新型コロナの感染拡大抑制、主力IT企業を軸にした業績回復期待、大統領選挙に向けたトランプ氏の当選予想反転上昇、一部景気敏感株(バリュー株)に見直し買いが進んだことが株高要因です。
一方で、高値警戒感も醸成されてきました。実際、9月3日はS&P500指数が前日比-3.5%、ナスダック総合指数は-5.0%、ダウ平均は-2.8%と急落しました。
相場が反落しやすかった背景としては、
(1)「夏枯れ」となりやすい8月相場が好調過ぎた反動
(2)季節的に9~10月は相場反落が起きやすい「アノマリー」
(3)大統領選挙直前(9~10月)は政治的な不確実性が高まりやすい
(4)外交の政治利用で米中対立の激化がサプライズに発展するリスク
(5)コロナ禍に伴う実体経済(雇用情勢や資金繰り)の悪化を巡る不安感
などがあります。
また、米国議会で与野党(共和党・民主党)が追加的景気対策の内容で合意に至らない状況も懸念材料です。とは言っても、過去に高値更新を続けた株式相場が波乱に直面したことは多々ありました。
そこで、近年で株価が最も下落したリーマンショック(2008年秋の金融危機)直前に株式投資を始めた場合のパフォーマンス(ドルと円)を図表1に示しました。
米国株式は株価急落を乗り越え円換算でも約3倍となった事象がわかります。米国株式市場では「長期投資」(買い持ちによるリターン)がリスク(リターンのブレ)をしのいだことを示す市場実績として注目したいと思います。
<図表1>リーマンショック直前(2007年末)からの市場実績