米国株式をけん引する高収益率と長期成長期待

 図表1で特にパフォーマンスが秀でてきた米国株式堅調を支えている要因は「高い資本収益率期待」と「高い成長率期待」と考えています。

 例えば株主資本(自己資本)に対してどの程度の利益を稼ぐかを示す予想ROE(株主資本利益率)では米国市場が19.1%と他市場を圧倒していることがわかります。

 米国市場の予想PER(株価収益率)や予想PBR(株価純資産倍率)は高水準となっていますが、その主因として
(1)コロナ危機以降の過剰流動性と信用市場改善で株式リスクプレミアムが縮小しバリュエーションを引き上げている
(2)時価総額ウエイトの高いナスダック主力株の予想ROEが総じて高い
(3)コロナ禍で社会や経済のデジタル(DX、IoT、AI)化が加速して収益成長を巡る期待が強まっている

ことが挙げられます。

 一方、日本市場の資本収益率を示す予想ROEは4.9%と世界比較でも低水準が見込まれ、予想PBRが低くとどまっている主要因とみなされています。

<図表2>市場別のROE(株主資本利益率)比較

*各市場別のMSCI株価指数について「予想ROEの高い順番」で一覧したものです。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年9月2日)