「リーマンショックの直前に始めた積立投資」を検証する

 現在の米国株式が高値圏で推移していることで、長期投資や積立投資を開始することにちゅうちょする方々がいらっしゃいます。もちろん、今秋、年内、来年以降の経済状況や株価動向を予想することはできても確約することはできません。

 実際、コロナ禍の動向は予断を許さない状況で、景気や業績見通しを巡る期待が揺らぐ場面では株式が乱高下する可能性も否定できません。現在の相場が「ITバブル崩壊(2000年)直前」や「リーマンショック(2008年)直前」と似ていると警戒する向きもあります。

 一方、こうした「投資をしない慎重論」は3月以降の「強気相場」を逃してきた口実にも聞こえます。そこで、図表4では近年における株価暴落(リーマンショック)直前を起点に米国株式に積立投資(定時定額投資)を開始した場合の検証結果を示しました。

 具体的には、2007年末からS&P500総収益指数(配当込み指数/円換算)に3万円ずつ積立投資を続けてきた場合の市場実績を試算したものです。

 その結果、2008年に米国株式は円換算で約5割下落したものの、ドルコスト平均法(株価が下落して購入口数が増加)の効果で累計投資口数は増加。

 時価ベースの資産が投資元本(簿価)を下回る局面はありましたが、その後の株価上昇で直近の時価総資産は約1 ,274万円に膨らみ累計投資元本(459万円=3万円×153回)の約3.8倍となったことがわかります。

<図表4>リーマンショック直前からの米国株式の積立実績

*2007年末を起点にS&P500総収益指数(円)に3万円ずつ定期定額投資した場合を検証
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2007年末~2020年8月末)