長期的な人口増加も米国経済を支援

 一方、潜在的な経済成長期待に重要な総人口の観測からも米国の優勢は顕著です。図表3は、国連の調査・予想による「米国と日本の総人口予想(2050年まで)」を示したものです。

 日本の総人口は減少傾向に転じましたが、米国の総人口は2010年に3億人を突破。2020年は3.3億人弱に増加し、2050年には3.88億人に増加していく見通しです。

 トランプ政権が打ち出す「移民制限」は、政治的で一時的な側面が強いと思われ、特にイノベーション(技術革新)をけん引するビジネス分野での優秀で若い移民(外国人)の貢献は無視できません。

 実際、GAFAMを中心とする大手IT企業は「ダイバーシティ」(雇用面の多様性)を重視しており、外国人や移民の採用に積極的です。

 このように、米国では労働人口の増加、イノベーション(技術革新)進展、資本流入(投資家のリスクテイクマネー)拡大が結びつくことで、生産性改善と経済成長が後押しされていくと考えられます。

 もちろん、米国には「貧富の格差」や「人種間の分断」など諸問題はあります。こうした諸問題が政治的なリスクに結びつく可能性に注意する必要はあります。

 とはいえ、長期の視野に立てば、米国の経済と資本市場がコロナ禍を乗り越えて成長し、世界の経済と資本市場の主役を担い続ける可能性が高く注目すべき投資対象である市場であり続けると思っています。

<図表3>米国の総人口は伸び続ける見通し

出所:国連の調査・予想より楽天証券経済研究所作成