※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【テクニカル分析】今週の日本株 「強くない」相場の強さで株価上昇?~高値更新は難しくないが、課題はその先~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し>

 先週末6月28日(金)の日経平均株価終値は3万9,583円でした。前週末終値(3万8,596円)からは987円上昇し、3万9,000円台を回復してきました。同じく、先週末のTOPIX(東証株価指数)も2,809pで取引を終え、2,800p台を回復しています。

 先週末でちょうど2024年相場の折り返し地点を通過することになりましたが、そのタイミングで日経平均とTOPIXがともに節目の株価水準を上抜け、再び高値更新を射程圏内に捉えつつある印象です。

 そこで、今回は日経平均とTOPIXの高値更新の可能性や、7月相場のポイントなどについて考えて行きたいと思います。

日本株の高値更新は容易い?

 早速ですが、いつもの通り、先週の状況からチェックしていきます。

図1 日経平均(日足)とMACDの動き(2024年6月28日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 まずは、先週の日経平均の値動きを振り返ると、上の図1でも確認できるように、直近まで意識されてきた25日と75日の2本の移動平均線を上抜けて、株価の戻りをうかがうような展開でした。

 週末にかけてはさすがに伸び悩みましたが、下段のMACDも「0円ライン」から上放れしつつあるようにも見え、日足チャートから受ける印象は上方向への意識を強めているように感じられます。

 今週の日経平均は4万円台へのトライが焦点のひとつとなりますが、4万円台までは417円、3月22日の取引時間中につけた高値(4万1,087円)までは1,504円となっており、少なくとも、4万円台回復の難易度は高くはないと言えます。

 続いてはTOPIXです。

図2 TOPIX(日足)とMACDの動き(2024年6月28日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 先週のTOPIXも日経平均と同様に、25日と75日移動平均線から上放れする格好で株価が上昇したほか、下段のMACDも上向きを強めています。

 また、高値については、週末28日(金)の取引時間中に2,821pの高値をつけ、一時的に3月22日の高値を上回る場面を見せており、TOPIXについては、さらにその先にある最高値(1989年12月18日の2,884p)が視野に入っています。

 さらに、前回のレポートでも紹介した、日経平均(日足)のボリンジャーバンドを見ても、直近までバンドの幅が狭くなる「スクイーズ」の状態から、先週の値動きによって、バンドの幅が拡大しつつあるように見えます。

図3 日経平均(日足)のボリンジャーバンド(2024年6月21日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 ボリンジャーバンドのバンドの幅が狭くなる状態は、相場の動きが方向感を欠き、エネルギーが蓄積されているため、いざバンドの幅が拡大し始めると、株価が動き出した方向に勢いが出やすいとされています。

 今回は上方向へ動き始めていますので、ボリンジャーバンドから見た日経平均の上値トライへの期待値は高いと考えることができます。