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著者の西崎 努が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
投資詐欺にだまされないで!怪しい投資話のありがちポイント3選

 資産形成の正解は人それぞれですが、一方で、多くの人が失敗してしまう考え方や、やり方があるようです。このシリーズでは、資産形成を始める人が陥りがちな失敗事例を取り上げ、やってはいけない行動を分かりやすく解説します。

お悩み

親が投資詐欺にだまされてしまい、大切な老後のお金を奪われた!!

西北和都さん(仮名)会社員・40歳(既婚、共働き、子ども3人)

 ある日、西北さんが近所の実家に子どもを連れて顔を出すと、親が何となく元気がなさそうにしていることに気がつきました。近所とはいえ共働きだとなかなか顔を出す機会は多くないので、孫に会えることを楽しみにしている親なのにどうしたのかと気になりつつも、その日は聞くことができませんでした。

 翌週になって西北さんはどうしても気になったので、一人で実家に帰って親に何かあったのかを尋ねることにしました。すると、昔仕事で一緒に働いていたAさんから連絡があって、飲みながら昔話をして盛り上がっている時に最近どんな投資をしているのか?という話になったそうです。

 Aさんは「自分もこれのおかげで老後は定期的に収入が入って安心して暮らせている」と言って、昔お世話になったから紹介するよと勧められたようです。

 Aさんの仕事での誠実な働きぶりを当時見ていて、投資内容にも違和感はなかったので、それならと銀行預金においてあったお金のうち1,000万円を指定された口座に振り込んだそうです。

 しかしその後、Aさんとは連絡が取れなくなり、投資したはずのお金もどうなっているのか分からなくなってしまい、これはだまされたのだと理解してショックを受けていたようです。

 西北さんはその話を聞いて憤りましたが、今となってはどうしようもなく、警察に被害届を出そうと言っても親はもう忘れたいと言って落ち込んでしまい、何もすることができませんでした。

 西北さんは自分や家族が二度とこのような被害に遭わないように行動しようと決心するとともに、子どもにも投資詐欺や悪い話があることをしっかり教えることにしました。

投資詐欺はこちらの心理を利用して巧みに誘導してくる

 投資詐欺は、人々からお金をだまし取るために虚偽の投資機会を提供する詐欺の一種です。投資家をだますために誘惑し、高いリターンを約束する一方で、実際にはそのようなリターンを生み出す裏付けがない場合がほとんどです。

 その中でも、最近著名人をかたったSNSを通じた投資詐欺が拡大し続けています。著名人の名前や写真を悪用した、うその投資広告が当たり前のように出てきては消えて、また手を変えて出てくることが繰り返されています。「SNS型投資詐欺」と呼ばれ、警察庁でも注意喚起されており、その手口が公開されています。

 投資詐欺は年々巧妙になっており、以下のような特徴が挙げられます。全体的な共通点ではなく、これらの特徴を組み合わせてだまそうとしてきます。

  • 高額な利益や高利回り、もしくは確定した利益を約束する
  • 緊急性を強調し、すぐに投資をするように圧力をかけてくる
  • 信頼性を持たせるために、大企業や著名人のふりをする
  • 複雑なスキームを提示して、理解をさせない
  • コミュニケーションを制限して、情報を精査させない

 日々の生活の中で詐欺に直面する機会があまりない人が多いため、ほとんどの人が自分はだまされるわけないと考えていると思いますが、詐欺グループは組織的にどうやってだますかに力を入れています。

 一度ターゲットにされると日々の生活に影響が出るほど執拗(しつよう)に狙われる可能性もあり、しかも明確な被害や証拠がなければ自己防衛に努めるしか手段がないケースもあります。

 特に「高齢者」「資産家」「独り身」などに該当する人は要注意ですが、保有資産があまりない「未成年」もターゲットとされやすく、投資詐欺の被害は発生しています。

 今回は、自分だけではなく大切な人を守るためにも、知っておきたい投資詐欺からお金や生活を守るための注意点をお伝えします。

怪しい投資話のありがちポイント1:うまい話には裏があると「疑念」を持つこと

「うまい話には裏がある」といわれるように、あまりにも良い話は疑ってかかるべきです。一般的な投資の話でも、良いことしか説明がなければ、何か説明されていないデメリットやリスクがあるのではと考えましょう。

 私も、仕事をしている時にあまりにも良過ぎる話が持ち掛けられた場合には、私に提案せずに自分でやったら良いのでは?とお答えするようにしています。これは投資でも同じで、確実にもうかる話なら人に勧めずに自分で投資すればいいだけです。

 それを他人に勧めている時点で確実にもうかる話とはいえないでしょう。良い点と悪い点の両方の話をすることは当たり前のことです。

 ただ、こうした話は往々にして特別感を醸し出したり、緊急性があるとして考える時間をあたえないように提案されたりします。できるだけ冷静な判断ができないように誘導することによって、当たり前の判断ができないようにしてきます。

 詐欺は、冷静に考えればだまされるはずがない提案がほとんどです。つまり、だます人はいかに「冷静に考えさせないか」を考えたり、「冷静でないタイミング」を狙ってさまざまな方法でアプローチをしてくるわけです。

 そんなうまい話が簡単にあるわけもなく、投資にはリターンと一緒にリスクがつきものであるという当たり前のことを忘れないようにしましょう。