怪しい投資話のありがちポイント2:投資話をうのみにせずに「確認」をすること

 投資詐欺はよくよく考えたらおかしい話や、過去に似た詐欺話があったりします。同じような詐欺であっても名称が変わったり、手口や勧誘場所を変えたりすることで新たな被害が広まることも多々あります。

 実際、過去には多くの投資家が詐欺に遭い、大きな損失を被っています。安易に投資話をうのみにせず、慎重に「確認」を行うことが不可欠です。では何を確認するべきなのか? 私からおすすめしたい確認事項は次の通りです。

1.情報の信頼性を確認する

 まずは提供された情報が信頼できるのかを確認します。投資案件を持ってきた人の所属する企業がきちんと金融庁などの公式機関に登録されているのか、万が一されていなければ法律上問題がないのかをしっかり確認する必要があります。

2.投資のリスクとリターンを確認する

 投資詐欺の多くは大したリスクがない(もしくは全くない)上にリターンが約束されているような提案をしてきます。リスクを大して説明もせずにリターンを強調してくるような話には要注意です。リターンよりもリスクをしっかり確認しましょう。

3.投資先の実態を確認する

 投資詐欺では投資先の実態がないこともあります。ありもしない企業の株式や売買される予定のない不動産、複雑で内容が分からない投資話などを提案してきます。またポンジスキーム(新しい投資家から集めたお金を使って、既存の投資家に高いリターンを支払う詐欺)では一見実在するように見せかけて、ある日急に支払いがなくなったり倒産したりします。

 こうした詐欺集団の企業であっても実害が出るまでは広告を普通に出していることもあるので、きちんと実態を確認することが重要です。

4.契約内容をきちんと確認する

 投資をする前には必ず契約内容をきちんと確認しましょう。特に、手数料、リスク、解約時の条件に関する条項などを細かくチェックしましょう。曖昧な点や疑問がある場合は、納得できるまで説明を求め続けることが大切です。

5.第三者の意見を確認する

 自分で確認するだけではなく、第三者の意見を確認することで自分では気づけなかったことが分かるかもしれません。今ではネットでも簡単に確認することができますし、専門家による無料相談もたくさんあります。いろんな視点の意見を確認することが投資詐欺を回避するためにとても有効です。

 投資話をうのみにせずに「確認」を行うことは、投資詐欺に遭わないための最善の防衛策です。逆に投資詐欺の被害に遭った方々は、何かしらの理由があってこうした確認をしていなかった可能性があります。投資は最終的には自己責任であり、利益も損失も自分に返ってきます。しっかりとした確認作業が成功の鍵ということを覚えておいてください。

怪しい投資話のありがちポイント3:知り合いだからと信頼しすぎないこと

 残念な話ですが、お客さまの相談に乗っていると知り合いにだまされたという話も珍しくはありません。普段からよく会う人というよりは、昔お世話になった人、世話をした後輩、中には昔担当だった金融機関の営業員が会社を辞めて提案しにきたなど、以前に付き合いはあったけど今は少し疎遠になっている人から被害を受けていることが多いようです。

 また、相手はだますつもりがないというケースもあります。その知り合いも第三者から勧められて、本当に良いと思って善意で提案していることがあります。自分に知識がないことによって、知らぬ間に自分も投資詐欺の片棒を担いでしまうのです。

 普段なら引っかからないような投資話であっても、「知り合いだから」ということで深く考えずに大丈夫と思ってしまう人が一定数います。性善説の考え方は個人的には好ましいと思いますが、お金に関わる話であればある程度慎重に考える必要があります。知り合いだからといって安易に信頼しすぎることなく、きちんと投資の内容を「確認」することを怠ってはいけません。

 知り合いに自分がだまされているかもしれないなんて想像できないと思いますが、現実問題として被害に遭っている方もいます。被害状況を鑑みると「自分に知識がないことで、相手に任せすぎていた」というように信頼関係を利用した詐欺が発生しています。

 もちろん詐欺をした人が悪いのですが、お金の知識を得てきちんと管理をすることは、自分の身を守るためだけでなく、周囲の人が悪事を起こすきっかけをなくすことにもつながります。

自分だけでなく大切な人の大切な資産を守るために

投資詐欺は私たちの身近にたくさんあることを知ろう

 金融教育のために某中学校・高等学校で授業をした際に驚いたのは、中学生で悪徳商法について種類や被害を学んでいる点でした。たしかに家計や投資の話をする前に、世の中には悪いことを考える人がいて、自分の身を守るためにはどうしたらいいのかを知ることの方が重要度は高いでしょう。

 投資詐欺は普段は出合うことはないかもしれませんが、私たちの身近に確かにあります。SNSのようなネットコミュニケーションだけでなく、普段の人付き合いの中でも出てくる可能性はあります。

 しかし、一定の投資知識を身につけ、うまい話には乗らずに、「確認」するべきことを確認し忘れないことで、被害から身を守ることはできます。自分だけでなく、子どもや高齢になった親を守るためにも、投資詐欺は人ごとではなく確かにあるものだと理解しておきましょう。

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