米国株は2009年から始まった長期上昇相場の最終波動か!?

 NYダウは昨年から上昇が鋭角的になり、今や世界的に総楽観相場が展開されている。下のNYダウのチャートのエリオット波動のカウントは、筆者の周辺のファンドが見ているものである。エリオットの波動カウントはカウントする人によって違うので、さまざまな解釈が存在することを最初に断わっておく。

 問題は、下のチャートの波動カウントが正しいと仮定すると、現在の米国株は2009年から始まった長期上昇相場の最終波動、すなわち、5波動目の位相(フェーズ)の中にいる可能性があることだ。


NYダウ(月足)の波動カウント

上段:14カ月修正平均ADX(赤)・26ヶ月標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21カ月ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
出所:石原順


 株式市場やコモディティ市場は5波動(相場の最後)が一番よく上がると言われているが、5波というのは相場の<短縮>や<延長>がしばしば起こる最もあてにならない波動なのである。

 NYダウは、エリオット波動の5波動が延長(エクステンション)するならあと1~2年上げてもおかしくなない。しかし、明日、突然上昇相場が終わってもおかしくない。それが5波の特徴である。

 下のチャートはブラックマンデーが起きた1987年の相場の<極端な例>だが、1波や3波の上げ相場で売り損ねても、その後の上げ波動でお迎えが来てポジションを利食いすることは可能である。しかし、5波のトップ(天井)は大天井であり、その後のA-B-C波の急激な下げに巻き込まれる危険性が高い。


NYダウ(日足)1986~1987年の波動カウントとブラックマンデー

出所:石原順

 NYダウの日足・週足の標準偏差ボラティリティモデルをみると、現在は最終波動にふさわしく首尾よく上げており、買いトレンド相場に変化はない。