2社とも保有する国内株式に巨額の含み益を有するが外債には巨額の含み損

 三菱UFJFG、三井住友FGはこのように安定的に高収益を稼ぎ、不良債権比率は低水準にとどまり、財務良好です。それにもかかわらず、株価は長期にわたり低迷してきた結果、株価指標で見て極めて低い水準にあります。

 どちらもPBRが約0.5倍と、解散価値の1倍を大きく割れているのは特筆できます。2022年9月末で三菱UFJFGは保有する有価証券に約7,600億円、三井住友FGは約1.3兆円の含み益(純額)があることを考えると、ここまで株式市場で低評価なのは「売られ過ぎ」と判断しています。

 両社とも保有する国内株式に巨額の含み益がありますが、保有する外国債券には巨額の含み損があります。ドル金利の上昇によって保有する外国債券の含み損が拡大しています。

 2022年9月末時点で、外国債券の含み損は、三菱UFJFGで約1.8兆億円、三井住友FGで約1兆500億円に達しているもようです(ヘッジなど勘案しない金額)。

 ただし、両社とも外債についてはヘッジ取引を行っており、ヘッジを勘案すると外債含み損の金額はそこまで大きくないと考えられます。

 外債の含み損拡大は両社にとってネガティブですが、株の含み益を合わせた純額で、巨額の含み益を有することに変わりなく、強固な財務基盤を有しているとの評価は変わりません。

 最後に告知事項です。筆者は過去に三井住友銀行に勤務したことがあり、三井住友FG株を9,000株保有しています。

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