※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]三菱UFJ「買い」再度強調 読者の質問に回答
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 今朝、テレビ東京「モーニング・サテライト」に出演し、三菱UFJ FG(8306)を「買い」と判断する理由を解説しました。本コラムで、三菱UFJ FG(8306)が私の一押しと繰り返しお伝えしていますが、それに対して読者の方からいろいろコメントが寄せられています。今日はそれに回答します。

「株価が上がったら買いは待つべき?」「株価が下がったら売るべき?」

 よく受ける質問が、短期的な株価変動に関するものです。

三菱UFJ FG株価推移:2020年末~2021年9月14日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 最近、株価が勢いよく上がっているので、「買おうと思って見ていたら株価が上がってしまった。また下がるのを待った方が良いですか」と質問をいただきました。

 私の投資判断は株価が1割や2割上がっても変わりません。9月14日の株価646.7円においても「強い買い推奨」は変わりません。

 これと同じような質問ですが、株価が571円に下がっていた時、「買ったら下がってしまった。やっぱり売った方がいいでしょうか」と質問をいただきました。私は、中長期で資産形成に寄与すると判断して買い推奨しています。下がったところは買い増しの好機と考えます。

 私は、三菱UFJが「財務内容良好」「収益基盤が堅固」「安定的に高収益をあげてきた」にもかかわらず、長期的に株価が低迷してきて株価が割安になっていることから、「強い買い推奨」としています。100円や200円株価が変動しても、その判断は変わりません。

 以下、私が三菱UFJ FGを推奨するレポートに出しているチャートを改めてご覧ください。

日経平均および3メガ銀行株の値動き比較:2007年1月~2021年9月(14日まで)

出所:2007年1月末の株価を100として指数化、QUICKより作成

 日本の3メガ銀行株は上のチャートでわかる通り、2008年以降、金利低下とともに売られてきました。日経平均を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。

 株式市場で「金利低下→銀行(金融業)の収益悪化」というイメージが定着しているので、金利が低下する都度、世界中で銀行株を始めとして金融株が売り込まれました。

日米の長期金利(10年国債利回り)推移:2007年1月~2021年9月(14日)

出所:QUICKより作成

 三菱UFJを含め銀行株は、まず日本の長期金利が低下する過程で、売られました。さらに、ドルの長期金利低下を嫌気して売られました。

 長期金利が下がると利ザヤ(貸付金利と預金金利の差)が無くなるという誤解があるため、金利が低下する都度、世界中で銀行株が売られました。

 それでは、長期金利がゼロになったことによって、3メガ銀行は利益を出せなくなったのでしょうか。まったくそんなことはありません。以下の通り、3メガ銀行は金利低下期でも安定的に高収益を稼いできました。

3メガ銀行の連結純利益:2014年3月期実績~2022年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料。2022年3月期は会社予想。三菱UFJは会社目標

 三菱UFJについて解説します。三菱UFJは2019年3月期まで、長期金利がどんどん低下していく中でも純利益で8,000億円~1兆円と安定的に高収益をあげています。「金利が下がると銀行は利益が出なくなる」というイメージとまったく異なります。

 海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・カード・投資銀行業務などの多角化)によって、低金利でも高収益を稼ぐビジネスモデルができあがっているからです。

 2020年3月期・2021年3月期はコロナ禍で与信コスト(貸倒償却および貸倒引当金繰入額)が増加したことによって、利益水準がやや下がりました。それでも高水準の利益を維持していたと評価できます。

 2022年3月期は利益がさらに回復します。すでに発表になっている第1四半期(2021年4-6月期)の純利益は、三菱UFJで3,830億円と通期目標8,500億円の45%を3カ月だけで出す好決算でした。与信コストの低下が純利益の水準を押し上げています。前期に引き当てた貸倒引当金に一部戻し益が発生しています。

 コロナ禍が終わったわけではないので、三菱UFJは通期の業績目標を修正しませんでしたが、上ぶれ含みと私は予想しています。年間を通じて、与信コストが会社見込みを下回ると予想しています。私は、三菱UFJ FGは近い将来、純利益で最高益を更新すると予想しています。