「とにかく衰退していく銀行に投資する気にならない」

 三菱UFJ FGの買い推奨に対し、「とにかく衰退していく銀行に投資する気にならない」とコメントをいただいています。

 確かに、従来の国内商業銀行業務は衰退していくと思います。駅前に大きな店舗を構えて個人預金をたくさん集め、国債を買って利ザヤを稼いでいくような銀行は、長期金利がゼロになった今、利益を得ていくことができなくなります。

 個人預金を集めることで成り立っていた中小金融機関の淘汰がこれから本格化するでしょう。三菱UFJ銀行も、国内店舗は統廃合によって大幅に削減する方針です。

 ただし、銀行業が不要になるということではありません。個人や中小企業は当然ながら、大企業でも銀行融資によって設備投資や資金繰りをまかなうニーズは永遠になくなりません。銀行店舗は不要になり、ネットバンキングが大きく躍進することになるでしょうが、銀行業自体が不要になることはありません。

 従来型の銀行はデジタル化(ネットバンキングの拡大)で衰退すると見られていますが、三菱UFJは、デジタル化の敗者ではなく、勝者になると予想しています。デジタル化の推進でコストを削減し、収益基盤を一段と強化します。不要になる国内店舗を削減し、その分、ネットバンキングや海外業務を一段と強化していくと思います。

 海外収益の拡大では、出資先のモルガンスタンレー証券や子会社としているタイのアユタヤ銀行、インドネシアのバンクダナモンも貢献していくと予想しています。

 ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・カード・投資銀行業務などの多角化)でも、一段と収益基盤を強化していくと予想しています。

 衰退する銀行というイメージが払しょくされ、デジタル化と海外収益の拡大で最高益を更新していくことができれば、株価の評価も変わると予想しています。投資家のイメージが悪く、株価の評価が低い今が投資の好機と判断します。