米国株式には「長期投資」の姿勢を変えず

 短期的にせよ株価調整を余儀なくされた米国市場に直面し、どのような投資戦略が有効となりそうでしょうか。図表3は、「S&P500総収益指数」(配当込みトータルリターン指数)の推移について、1993年初を100として対数チャートで示したものです。

 一見してわかるとおり、同指数は約30年間で16.1倍に上昇してきたことがわかります。年率平均リターンを算出してみると「+10.4%」を記録してきました。長い目でみた株式投資の成果には、株価上昇(キャピタルゲイン)に配当(インカムゲイン)も加わります。

 株式市場は短期的には上下を繰り返しますが、じっくりと長期投資を続けていれば「30年で総収益が16倍となってきた」との市場実績がみてとれます。このように、S&P500種指数はリスク(リターンのブレ)を加味した長期リターンでみると「世界最強の株価指数」と評価されるにふさわしいと思われます。

 米国株式が、目先の悪材料や不安材料を消化して、いつから復調に向かうのかを正確に言い当てることは困難です。

 ただ、S&P500が現水準(3,891ポイント)を起点にして年率10%で成長していく軌道に回帰すると仮定すれば、「今後3年程度で5,000ポイントに到達する」との見込みが試算できます。長期投資を維持する姿勢で臨むとの前提に立てば、現在の株価調整は「押し目買い」や「積み増し買い」に分があると考えています。

<図表3>米国株を巡る長期投資姿勢は変えず

*上記は1993年初を100として指数化した対数チャートを表示したものです。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1993年初~2023年3月15日)

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