米国市場は継続的な金利上昇を警戒している

 2月上旬の米国市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め長期化に対する警戒が続き、株式は調整モードとなりました。

 3日に発表された1月の雇用統計に続いて小売売上高が強かったことに加え、CPI(消費者物価指数)やPPI(卸売物価指数)がインフレ減速ペースの鈍化を示したことで、早期の利上げ停止期待は後退しています。複数のFRB高官が利上げに積極的なタカ派発言を表明して債券市場は下落(金利は上昇)。2月初頭まで戻り歩調だった株式にリスク回避の売りが広まりました。

 今週21日には、S&Pグローバルが発表した製造業・非製造業合わせた総合PMI(購買担当者景気指数:2月分)が前月から3.4ポイント上昇して50.2(市場予想=47.5)となりました。

 企業活動の拡大と縮小の境目である「50」を上回り8カ月ぶりの高水準を示したことで、債券市場では長期金利(10年債利回り)が3.9%を超えて約3カ月ぶりの水準に上昇。21日の株式は一段の調整を余儀なくされました。

 図表1は、米国の株価(S&P500種指数)、政策金利(FF金利誘導目標上限)、債券市場金利(2年債利回りと10年債利回り)の過去1年の推移を示したものです。2月に入って債券金利が上昇してきたことが分かります。

 現代投資理論によると、「株価は将来想定される企業利益(キャッシュフロー)の割引現在価値」とされており、割引率に大きな影響を与える債券金利上昇は、株価の下押し圧力につながりやすいことに注意が必要です。

<図表1>債券金利の上昇は株価の重しとなりやすい

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2022年2月~2023年2月22日)