※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の香川 睦が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米国株式は波乱相場に直面?するべき投資とするべきでない投資」
米国市場の恐怖指数上昇で「ボラティリティ売り」はかさむか
米国市場ではS&P500種指数が16日に最高値を更新(終値:5,667)して以降、軟調に転じました。前週から、米商務省による対中半導体規制、世界規模で発生したシステム障害(19日)、ナスダック主力株(大手ハイテク株)に利益確定売りがかさんだことなどが波乱相場の要因です。
特に、23日にテスラが発表した四半期決算は2四半期連続で市場予想を下回り、自動運転車による「ロボタクシー」の発表を当初予定(8月)から2カ月遅れの10月に延期したことも嫌気され同社株は急落。AI(人工知能)の実装と収益化への期待を後退させた印象があります。
さらに、「リスクパリティ戦略」と呼ばれるボラティリティ売り(一部ファンド筋による順張り的な株式売り)も警戒されています。
図表1が示す通り、S&P500は前週に20日移動平均線を割り投資家センチメントが悪化。注目されている「恐怖指数」(VIX=投資家の市場変動予想)は18.0まで上昇しました(24日)。恐怖指数が20に向け上昇すると、(4月にみられたように)ボラティリティ売りがかさんで市場需給が一段と悪化する可能性は否定できません。
4月の調整では、S&P500が100日移動平均線に迫る下落を余儀なくされました。21日にバイデン大統領が大統領選挙から撤退し、後任候補にカマラ・ハリス副大統領を推す意向を表明したことによる政治的不確実性も市場の重しです。
本稿で幾度かご紹介した通り、過去30年にわたるS&P500の平均推移を検証すると、7月の堅調相場後に「夏枯れ相場」が訪れやすいとの季節性は世界のファンドマネジャーに共有されている市場実績です。こうした中、相場変動に動揺せず長期的な時間軸で投資を続けることが得策と考えています。
<図表1>米国市場では「恐怖指数」の上昇が波乱相場を示唆




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