個人投資家に人気の「株主優待制度」

 個人投資家が株式投資を始めるきっかけで、「株主優待が魅力的」は常に上位を占めています。短期的な株式変動に一喜一憂せず、株主優待を楽しみながらじっくり長期投資できれば良いと思います。

 ただし、優待投資とはいっても「株式投資」です。株式投資をする上で、最低限知っておいた方が良いことはあります。今日は、優待投資を考えている初心者の方のために、「これだけは知っていてほしい」6つのポイントをお伝えし、最後に長期投資にふさわしいと私が考える3銘柄をご紹介します。

株主優待制度は、個人投資家を優遇することを目的としている

 株主優待制度は、個人投資家にとって、とても良い制度だと思います。なぜでしょう。それは、小口で投資する個人投資家を優遇する一方、大口で投資する機関投資家に不利な内容となっているからです。

 買い物をするとき、たくさん買うほど、割引などのメリットを受けやすくなるのが普通です。そこから連想すると、株主優待制度も、たくさん株を保有している大株主に手厚いと勘違いしてしまいます。

 驚くべきことに、優待制度は、大株主を冷遇、小口の個人投資家を優遇する内容となっています。そのため、機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数あります。

 機関投資家にとって不利な内容になっていることを、具体的に見てみましょう。以下は、典型的な優待の一例です。

<A社の優待内容>

 期末の株主名簿に記載されている株主に以下の自社製品を送る。

 上記の優待内容から、100株当たり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表です。

出所:楽天証券経済研究所が作成

 ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が1,000円で最大です。保有株数が大きい株主は、100株当たりのメリット享受額が小さくなります。

 このように、優待制度は、小額投資の個人株主を優遇する内容となっています。個人株主数を増やしたい上場企業が、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールしているわけです。

 小売・外食・食品・サービス業では、個人株主がそのままお客さま(会社の製品やサービスの購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数あります。

 個人投資家には、とてもうれしい制度ですが、大口の機関投資家には、非常におもしろくない制度です。