一時1ドル124円まで円安進む

 FRBが引き締め姿勢を強める中、日銀は異次元緩和を継続する方針です。日米の金融政策のスタンスの差を受けて、為替市場で円安(ドル高)が進んでいます。3月28日には一時1ドル124円台をつけました。4月1日は1ドル122.50円です。

 円安進行は、日米長期金利差の拡大を織り込んだと言えます。ただし、1ドル120円台の円安はやや行き過ぎとも言えます。

日米長期(10年)金利差とドル円為替レート:2019年1月~2022年4月(1日)

出所:QUICKより作成

 日本の製造業は海外現地生産を高めたので、円安が進んでも日本の輸出が増える効果はありません。一方、円安が進むことでエネルギー輸入コストが上昇し、1月の経常収支が1兆1,887億円の赤字となり、日本経済に悪影響を及ぼす「悪い円安」という声が高まっています。

 私は、「悪い円安」説は、やや誇張されていると考えています。日本からの輸出は確かに減りましたが、日本企業は海外現地生産・現地販売で高い利益を上げています。円安が進むことによって、海外利益(ドル建て)の円換算額が膨らむ効果は大きいので、プラスマイナス合わせて、円安は日本の企業業績にプラスと考えています。

日本はリオープンで内需回復あるか?

 蔓延防止法の解除で、日本の内需が回復する期待が出ています。感染が収まらない中でも、ウィズ・コロナのリオープン(経済再開)が進む可能性があります。

 ただし、感染拡大で中国で都市封鎖が起こるなど、日本でもまだリオープンがどこまで進むか、予断を許しません。年内どこかのタイミングで内需回復があると私は予想してますが、それがいつ頃になるかは、まだはっきりしません。

日本株「買い場」の見方継続

 結論は毎回述べていることと同じです。日本株は割安で長期投資で良い買い場となっていると思います。ウクライナ情勢・米利上げが加速する可能性に注意が必要ですが、時間分散しながら割安な日本株を買っていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

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