私が投資してみたいと考える6銘柄

 スクリーニングで選んだ銘柄に、機械的に投資するのは得策とは言えません。配当利回りが高い銘柄には、将来、減配になるリスクもあるからです。ここから、さらに絞り込む必要があります。

 私は、1987年から2013年まで、日本株ファンドマネージャーをやっていました。私がもし今、ファンドマネージャーならば買ってみたいと思う銘柄は、6銘柄あります。以下の通りです。

筆者がファンドマネージャーならば買ってみたい6銘柄

コード 銘柄名 配当
利回り
業種 最低
投資額
3003 ヒューリック 3.6% 不動産 97,000
3289 東急不動産HD 3.7% 不動産 43,500
4188 三菱ケミカルHd 4.0% 化学 60,680
5020 ENEOS Hd 5.7% 石油 38,620
8306 三菱UFJ FG 6.1% 銀行 41,230
8411 みずほFG 5.5% 銀行 13,720
出所:筆者作成、配当利回りの根拠は前表、最低投資額は29日株価で最低投資単位100株を買うのに必要な金額(円)

 上記リストは、業種(不動産・化学・石油・銀行)別に、色分けしています。上記より、複数の投資銘柄を選ぶ際、特定のセクターに集中せず、さまざまなセクターに分散投資した方が良いと思います。

 欧米の相場格言に、「1つの籠に、すべての卵を入れるな」があります。これは、投資において分散投資が重要という意味です。1つの銘柄、同じ業種の銘柄に集中せず、さまざまな業種に分散すべきと思います。

それでは、上記6銘柄について、簡単にコメントします。

【1】不動産2銘柄(ヒューリック・東急不動産HD)
 都心のオフィスビルは、昨年まで需給が逼迫し、空室率の低下・賃料の上昇が続き、業績好調が続いていました。ところが、コロナ・ショックを受け、不動産需給は徐々に緩み始めています。在宅勤務の普及で、都心のオフィスビル需要は、長期的に減少が見込まれます。

 ただし、ここで選んだ2銘柄は、株価が買収価値から見て割安な水準まで下がっていると判断しています。ヒューリックには、2019年末時点で、保有する賃貸不動産に3,700億円の含み益があります(出所:同社有価証券報告書)。また、東急不動産HDには、2020年3月末時点で、保有する不動産に2,570億円の含み益があります(出所:同社有価証券報告書)。

 含み益を考慮すると、現株価は買収価値から割安で、不動産需給が緩和する見通しを考慮しても、現株価で投資する価値があると判断しています。

【2】三菱ケミカルHD
 リチウムイオン電池材料など電子部材や医薬品など高付加価値品で稼いでいく力があり、コロナ・ショックで売り込まれた現株価は、割安と判断しています。

【3】ENEOS HD
 エネルギ-分野で、川上(原油資源開発)から川下(石油製品)まで、一貫生産できる強みを持ちます。原油備蓄義務があり、前期は、原油急落で在庫評価損が出て収益が急激に悪化しました。ただし、原油価格が反発しつつある今期は、在庫評価損がなくなり、逆に在庫評価益が出る可能性もあり、収益の急回復が見込まれます。高配当利回り株としてじっくり長期投資して良いと考えています。

【4】メガバンク2社(三菱UFJとみずほ)
 銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。

 3メガ銀行では、三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが6.4%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約30万円と大きいので、上記リストには入りません。3メガ銀行の中で比較すると、海外収益拡大で先行する三菱UFJの魅力が一番高いと判断しています。

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