基本的には、元気なら「先送り」、心配なら「受け取り」で考えよう

 とりあえず、現在の制度における「75歳受け取り」の基本的な仕組みを説明してみました。多くの人にとっては「まだだいぶ先の話」でしょうから、そのときの税制などをよく確認して選択してください。

 あえて、公的年金とiDeCoの受け取り方をまとめるなら、基本的には「もらいたいなら、もらう」「ガマンできるなら、先送りする」でいいと思います。

 特に、身体が元気で、65歳以降も十分な収入を得ているなら、受け取りを遅らせ、増額してもらうにはいい環境です。

 しかし、健康に不安を感じている、65歳以降の収入は大幅に減少する、収入を気にせず社会貢献的な仕事に取り組んでみたいなどなど、何か理由があるなら、公的年金にせよiDeCoにせよ、65歳からもらえばいいわけです。

 また、「最初はiDeCoのみもらって、公的年金を増額させる」というバトンタッチ式もあります。そして、75歳にこだわる必要もありません。公的年金は終身にわたって増額されますから、67歳、あるいは68歳までがんばって増額して受け取るというのもいい方法です。

 これも誤解が多いのですが、公的年金の受け取り時期は65歳、70歳、75歳と固定されているわけではありません。65歳から66歳までは1年空けなければいけませんが、それ以降は実は「1月単位」で受け取り時期を決められます。「とりあえず1年だけがんばってみて、そのあとは欲しくなったら請求する」でもいいわけです(ちなみに公的年金を遅らせた人は「65歳の年金額相当で遅らせた年月分を一括でもらう」という選択肢もあります。どうしてもお金が必要になった場合、増額をせず、まとまったお金をもらうこともできます)。

 実際にどれくらい稼げるかは、60歳あるいは65歳になってみないとはっきりしないものです。そのときのあなたのマネープランに、今回の改正で変わった公的年金やiDeCoの受け取り選択肢も加えて、シミュレーションしてみてください。