そもそも論なら「嫌な人は今まで通りのルールでもらえばいい」
今回の改正に伴うニュースやネットの反応を見ると、「死ぬまで働けというのか!」というようなコメントが散見されます。誤解している人の多くは、「今の65歳段階での年金水準で、ようやく75歳になってもらえる」「つまり75歳までは、しんどくても働かなくてはいけない」というイメージを持っているのでしょう。
しかし、これは根本的に間違いです。今決まっている計算式で、今まで通り「65歳からもらい始める」基準には変わりがないからです。また、減額されることを受け入れるなら「60~64歳で受け始める」ことも今まで通りです(むしろ月0.5%減から月0.4%減と、減額率はちょっと弱めにしてくれることになりました)。
すでに織り込まれている給付水準の減額ルールである「マクロ経済スライド」は実施されますが、それはすべての世代が対象となるものですから、今回の「75歳」には中立的です。
つまり「75歳まで待てるか!」という人は、今まで通り65歳からもらえばいいわけです(ところで、「水準が下がる分を、受け取りを遅らせることで増額させたい」ということはいい発想です。ちなみに現水準の年金額をもらいたい場合、68歳まで働いて年金を受け始めればいいという試算があります。これも、75歳までがんばってようやく、というわけではありません。これから「70歳現役」社会への移行が始まりますし、老齢期になっても体力に余裕のある時代ですから、そう心配する必要はありません)。