円高相場の本番は8月以降か…?

 トランプ米大統領の訪日は、米国では観光旅行と揶揄されているが、重要なことは対日通商交渉で8月に決着を図るということをトランプ大統領がはっきり言っていることだ。選挙対策で安倍政権に貸しを作り、選挙が終われば大幅譲歩(日米通商交渉はTPP[環太平洋パートナーシップ協定]とは関係ないと明言)という形で借りを返してもらおうというトランプ流のディールである。

 また、トランプ大統領は日本の選挙について複数形で表現しており、衆参同日選挙を安倍首相から聞かされたのではないかという思惑を呼んでいる。

 いずれにせよ、選挙日程を考えると日本との貿易交渉は夏まで先送りだ。だから、円高相場の“本番”は8月以降になる可能性がある。

 最近のドル/円相場が株の下げに反応しにくくなっているのは、8月までのモラトリアム期間が設けられたことと、中国政府のPKO(プライスキーピングオペレーション/価格維持政策)で中国株の下落が止まっていることが影響している。

ドル/円(週足)と三角もちあい

4年にわたる三角もちあいの底流では変動のマグマが溜まっている

出所:石原順

上海総合指数(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

PKOで売りトレンドは終息し横ばいのレンジ相場となっている

上段:修正平均ADX(14)・標準偏差ボラティリティ(26)
下段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ(緑)
出所:石原順