Q)これだけ負債が増える中で長期債の利率が低いことにどの程度驚きを感じるか?

A)長期金利は市場とFed(連邦準備制度)のフォワードガイダンスによれば高いはず。去年12月、Fedは何があっても量的引き締めを継続すると言っていた。そして株式市場が崩壊するとFedは驚くべきことに方針を180度変えた。Fedの優柔不断な姿勢はあるものの、株式市場は景気に対して圧力がかからないと安心した。結果、Bond Yield(債券利回り)は低下し、国債の流通量は減少した。

Q)投資家の中で利下げを望む人たちがいるがFedの次の手は?

A)Fedは名目GDPが5.3%で危機でもないのに量的緩和をすると声明をだした。驚きだ。ルールが変わる世の中に我々はいる。

Q)大統領選を機に景気後退が起きることがあるが、あなたは2016年の選挙でトランプが勝つと予言したが、2020年は?

A)まだ早すぎる。民主党の候補の状況を見たい。結局は資金が集まっている2人の候補に絞られるだろう。その一人はバイデン。共和党の主流にもトランプの対抗となる候補がいるかもしれない。となるとだれも選挙人団を確保できずに票が割れてしまうかもしれない。

Q)どうして?

A)世の中がますます分断されている。2016年の結果は民衆にとってショックであったが2020年はもっとあり得ないことが起きるかもしれない。上院と下院で大統領候補が割れるかもしれない。そして2020年の選挙キャンペーンでは暴力沙汰を見るかもしれないし、暴動も起きるかもしれない。

Q)こういった状況で投資家はどうするべきか?

A)昨年は90%の市場で価値が下がり難しい市場環境だった。一つの推奨は2年国債。世の中がひどくなろうとも元本は保証され2.5%の利息が得られる。流動性が必要なら、他の投資家が感じている苦痛を利用すれば良い。

Q)その苦痛とは?

A)正当な選挙が通常の人が受け入れがたい結果をもたらした。2年ちょっと経過して悪夢が去るのを待っている。「もし選挙人団制度がトランプを生んだのであれば下院が選んだ大統領はどうなのであろうか?」という疑問を投げかけたとしよう。もし党から2名以上の候補を出せるとした場合、金融業界は絶望的になる。だれも結果の予測ができないからだ。」

Q)債券にはどういう影響が出るか?

A)今の債券市場の問題は企業の債務である。企業の債券は自社株買いや年金資金として使われている。社債はいろいろあり、間違った格付けになっているものが多い。もともと債券市場相手の投資家がいない中で、この市場には資金が入りすぎている。

Q)今、投資家は何を見るべきか?

A)ドル安になると思われ、それによっていろいろなことが大きく変わる。資産価格が動かないときは価格が落ちる方にかけるのが良いと知られている。何よりも双子の赤字は弱いドルと強い相関がある。Fedが利上げはしないといったこともドル安の材料。

ドルインデックス先物(週足)

出所:石原順

Q)ヨーロッパの市場は?

A)何もしたくない。Euroは上がるかもしれない。しかしマイナス金利のヨーロッパでは何もしたくない。ヨーロッパは信じられないような状況。その理由はマイナス金利。ドイツの銀行の合併のひどいプロセスを見ればわかる。2つの不健全な銀行から1つの不健全な銀行ができるだけであろう。