Q)一般的に今の金融市場はどんな状態?

A)何も変わっていない。10年債は3.25%まで上がったが続かなかった。ドルはこの4年安定が続いている。金の価格も動かない。唯一かわっているのは経済が鈍化し、原油が上がっているだけだ。

Q)次は何が起こるか?

A)米国株式市場はまだ弱気相場だと考えている。一度下がって、そのあと戻るのは弱気相場の典型的な動き。今売るかみんな迷っている。100%確実なことは何もない。

Q)あなたは2018年にS&P500が下がると予言したが、2019年末までに米国の株式市場はどうなっているのか?

A)状況は変わらないのではないか。この6カ月は上下するであろう。すでに上昇は始まり、短期的な頂点は近い。中盤から後半にかけて下がるだろう。

Q)ひどくなると中央銀行がまた銀行を助けるのではと投資家は見ているが危機後10年たって金融政策をどう思うか?

A)中央銀行は今や長期金利の上限をコントロールし、質の悪い投資が増えた。各国で政策金利がマイナスとなり国債を保有する理由がなくなった。結局、資金は不動産やVC(ベンチャーキャピタル)に流れた。中央銀行が長期金利を抑えようとしなくなった時、その結末は明白だ。

Q)中央銀行は非伝統的な手法が作用していると自信を持っているようだが?

A)まるで虎の尻尾を捕まえて何とかしている状態で、しっぽを離したとたんに殺されるような状態なのを中央銀行は分かっていない。出口はない。結局、過激な手段を少しずつ取ったので、更に新しい過激な政策を続けるしかない。

Q)MMTに関してどう思うか?

A)すでにどんな考えも許容されるところにこの世の中は来ている。日本は負債をものすごく増やした。しかしその結末としては30年前の株式市場の最高時から30年たってもまだ半分しか回復していないということ以外何もない。ゼロ金利、国の負債の増加、経済的に成功していないという事実の間に何か相関があるのだろう。フェアで機会がある良い社会を作ろうというのがMMTであっても、実際には結果は逆となり、本当の問題を見過ごしていることに過ぎない。

日経平均(月足)

出所:石原順

Q)本当の問題とは?

A)道路や橋、米国の社会インフラはひどい、多くの空港は第三世界並みだ。例えば、カリフォルニアは浄水システムやフリーウェイに何も投資ないうちに人口が1,000万人から4,000万人に増加した。LA(ロサンゼルス)からサンフランシスコの高速鉄道を建設する資金すらない。これらが問題を語っている。

Q)その結末はどうなるか?

A)民主党候補者の多くは、国がGDP(国内総生産)の6倍もの借金を抱えているにも関わらず、何の裏付けもない数兆ドルを必要とする政策を掲げている。好景気にもかかわらず国の負債は7%、1.5兆ドル増加した。信じられない。悪い夢でも見ているのであれば良いが、こういった状態で不況となったらどんな極端な政策をとることになるのであろうか?何故ならば前回の不況期にとった政策が今の状態を産み出しているからだ。

Q)その対策はどんなもの?

A)次の不況は更に国の負債を増やし、その結果、長期金利は上がり、更にひどい不況となる。結局、中央銀行は「日本銀行」化し、自分で国債を買うことになるだろう。だから長期金利の動向は予測できない。