今月の質問「株主優待」

楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト 窪田真之

 [今月の質問1]もらった株主優待を無駄にしたことはありますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 24%の方が、優待を無駄にしたことがあると回答しました。企業の製品(食品など)が贈られる優待ならば無駄になりにくいですが、有効期間1年の割引券や食事券を贈ってくる場合、期限切れで使えなくなることもあります。「ぜひ使いたい」優待を選ぶのは当然ですが、「使いやすさ」も考えて選ぶことも大切です。

 人気の優待券に、外食業の「食事券」があります。通常、有効期限は1年です。行きたい店の食事券でも、近くに店がないと期限切れになってしまうこともあります。使う当てのない優待券は、ネットなどで売れる場合もあります。なるべくムダにしないように考えましょう。

【今月の質問2】もらった株主優待はどうしていますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 自分で使うのがベストですが、使うあてのない株主優待券は売ることも考えましょう。人気の優待券ならば、ネット上、あるいはチケットショップで売却できます。ただし、かなり割引されます。500円の食事券が400円で売れれば、良い方です。500円の食事券が300円、あるいは、250円になることもあります。人気のない優待券だと、買い取りするチケットショップがありません。人気のものでも、有効期限までの期間が短過ぎると、売れないことがあります。使うあてがない場合は、早めに売却した方がいいと思います。

 株主優待割引券(例えば1回の買い物が1割引になる券)には、売ることができないものもあります。ただし、航空会社(JALやANA)や鉄道会社(JRなど)の株主優待割引券は、人気です。自分で使わない場合は、ネットで売却できます。ただし、売却金額は、自分で使う場合に得られるメリット額より小さくなるでしょう。

 航空優待券は、その時々の需給によって売却できる価格が変動します。供給が増えるとき(優待券が株主に贈られるとき)に下がり、旅行需要が増えるときに上がる傾向があります。ネットで「株主優待券 売却」と検索すれば、さまざまなチケットショップが出している買い値を見ることができます。近所にチケットショップがあれば、直接行って、売り値や買い値を問い合わせることもできます。

【今月の質問3】3月の株主権利確定銘柄のおすすめを、ひとつだけ教えてください。

順位 コード 銘柄名 配当利回り 優待
1 8591 オリックス 4.70% 施設等利用割引など
2 9433 KDDI 3.80% 商品カタログギフト
3 7412 アトム 0.20% 自社ポイント
4 9831 ヤマダ電機 2.40% 買物割引券
5 9202 ANAホールディングス 1.70% 運賃・料金割引券等
6 7616 コロワイド 0.20% 自社ポイント
7 3099 三越伊勢丹 1.10% 買物割引カード
8 9201 日本航空 2.70% 運賃割引券など
9 4661 オリエンタルランド 0.30% 1デーパスポート
10 7201 日産自動車 6.10% 新車購入時特典

注:配当利りは、2019年3月期の1株当たり年間配当金(会社予想)を3月5日の株価で割って算出

 日本の個人投資家に、配当金よりも贈り物(株主優待)を好む傾向があります。度が過ぎると、非合理な行動につながります。株主への利益還元は、本来は配当金支払いによって行うのが筋です。株主優待の魅力的な銘柄と、優待はなくても安定的に高い配当利回りの出る銘柄に、分散投資した方がよいと思います。

 上記に挙げた銘柄では、オリックスとKDDIは、優待内容も配当利回りも両方とも魅力的な銘柄として、注目しています。

 上記銘柄には、良い銘柄が多いと思いました。ただし、ヤマダ電機だけは、構造的に収益が悪化している可能性があるので投資は見送った方が良いと、私は考えています。詳しくは、ヤマダ電機のほか、オリックス、KDDI、ANA、日産自動車についての私の投資判断を掲載している、以下のレポートを参照してください。
2月26日:3月の人気優待トップ10:アナリストの視点でチェック 

 なお、上記優待銘柄の「権利付き最終売買日」は、すべて3月26日(火)です。26日までに買えば、権利が得られます。27日(水)に買っても、権利は得られませんのでご注意ください。