サンタクロース・ラリーと大統領選挙前年の米国株高というアノマリー

 今年のマーケットはひどかった。現地通貨建てでみると、世界の株価騰落率の1位は4年連続ベネズエラである。2位ウクライナ、3位イラン、4位ブラジル、5位サウジアラビアと続く。だが、ブラジル以外はインフレ連動で上げただけであり、ドル建てでみると悲惨な成績となる。

【金融市場にとって今年は、過去50年で突出した厳しい1年となっているが、20日に状況は目に見えて悪化した。幅広く資産全般が軟調となり、投資家の逃げ場がほとんどなくなった。株式相場は続落し、幅広い銘柄が売られる中で、S&P500種株価指数は一時高値調整の水準まで下げた。原油は年初来安値を更新。クレジット市場にも動揺の兆しが見え、仮想通貨ビットコインは急落した。一方で米国債や金、円といった従来から安全資産とされる資産は小動きだった。幅広い資産クラスが歩調を合わせて値下がりした背景には将来への不安がある。米国株の過去最長の強気相場の原動力となってきた企業利益は、ピークに達したように思われ、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争も収まる兆しが見えない。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が利上げ姿勢を和らげる気配はなく、利上げが続けば、S&P500種構成企業が過去10年に発行した総額約5兆ドル(約564兆円)相当の社債保有者には悪夢となる】(11月21日 ブルームバーグ『金融市場に無傷のセクター見当たらず、投資家の逃げ場ほとんどなし』)

 と、報道されているように、中央銀行バブルという全資産バブルがピークアウトしている。

 ただし、ウォール街は今年のボーナスも悪くなかったようで、若いトレーダーたちは、「来年は大統領選挙前年の年だ。大統領選挙前年の年の米国株は大きく上がり勝率も高い。来年は買いだ」と、鼻息が荒い。

 ここから先は、今年もサンタクロース・ラリーへの期待感が高まっているようだ。毎年この季節になると、「サンタクロース・ラリー」が話題になる。サンタクロース・ラリーは「株式トレーダー年鑑」の編集者イエール・ハーシュが1972年に発見したアノマリーである。

「12月の最終5営業日から1月の当初2営業日までの7日間は高い」というアノマリーだが、上昇要因としては、米国の投資家が確定申告でキャピタル・ロスを申告するため、不採算の株式を年末に売り、年明けの新会計年度が始まると売却した資金で再投資をする傾向が指摘されている。

 サンタクロース・ラリーの動向が注目されているが、12月に相場が上がるようなら、1月の相場反転に気をつけなければならない。それはまた次の機会に書きたい。

●ダウ総合指数のシーズナルチャート(過去20年の推移)

出所: https://charts.equityclock.com