米国株の益利回りは5.2%:金利との比較で割高感なし

 こうしたなか、米国株のバリュエーションをあらためてチェックしたいと思います。

 S&P500種指数ベースの12カ月先予想EPS(1株当り利益/市場予想平均)は224.82ポイントとなっており、前年同期(12カ月累計実績EPS)に対して+16.9%の増益が見込まれています。年初来の株価調整を経て、S&P500種指数の予想PER(株価収益率)は19倍割れまで低下しています(23日時点)。

 図表3は、S&P500種指数ベースの株式益利回り(予想PERの逆数)と米国債市場の金利(利回り)の推移を示したものです。

 政策金利の行方に敏感な短期債金利(2年国債利回り)は1.5%程度に上昇し、3月15-16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で決定される利上げサイクルを織り込んできたのに対し、タームプレミアム(満期償還までの残存期間リスク)を織り込む長期債金利(10年国債利回り)は2%弱で推移しています。

 1992年以降の約30年で株式益利回りと長期金利の「差」を算術平均すると2.2%でしたが、現在は3.3%となっています。相対的に高い株式益利回りは「債券利回りを加味すると予想PER(株価収益率)が高くない状況」を示しています。

 実際、2000年のITバブル当時や2007年当時(金融危機直前)を振り返ると、長短金利が5%から6%を超える高い水準でイールドカーブ(利回り曲線)が平坦もしくは逆イールドとなっていました。2000年も2007年も株価が大幅下落に至る兆候がみられたということです。

 現在の株式益利回りは約5.2%で株式に(債券金利を加味した)過度な割高感はみられません。長短金利も順イールドを維持しています。ウクライナ情勢の緊張で株価は下落していますが、米国の経済や業績見通しといったファンダメンタルズを考慮すれば、「押し目買いや積み増し買いに分がある相場」と考えています。

図表3:株式益利回りと金利を比較したバリュエーション

*株式益利回り=S&P500指数の12カ月先予想EPS(市場予想平均)にもとづく予想PERの逆数 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1992年初-2022年2月23日)

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