金利が下がる都度、売られてきた銀行株

 三菱UFJ、三井住友FGとも、高水準の利益をあげてきたにもかかわらず、株価は長期にわたり低迷してきたため、株価指標で見て割安となっています。両社の株価が過去どう推移してきたかご覧ください。

日経平均および3メガ銀行株価の値動き比較:2007年1月~2023年3月(28日まで)

出所:2007年1月末の値を100として指数化、QUICKより作成

 両社とも2008年以降、金利低下とともに売られてきました。金利が低下している間は、日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっていました。

 株式市場で「金利低下→銀行(金融業)の収益悪化」というイメージが定着しているので、金利が低下する都度、世界中で銀行株を始めとして金融株が売り込まれました。

日米の長期金利(10年国債利回り)推移:2007年1月~2023年3月(28日)

出所:QUICKより作成

 両社とも、日本の長期金利が低下する過程で売られました。日本の長期金利がゼロ近辺に低下すると、国内商業銀行業務の収益低下が懸念されて売り込まれました。さらに、ドルの長期金利が低下したことも嫌気されました。

 2021年以降、ドルの長期金利が上昇し始めると、世界的に金融株が上昇し、日本のメガ銀行株も上昇しました。日本銀行が2022年12月、日本の長期(10年)金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げると、国内銀行業務の利ザヤ拡大の期待から、日本の銀行株の上昇が加速しました。

 ところが、3月に入り欧米の金融不安が波及して、世界的に長期金利が低下し、日本の長期金利が再び0.2%台まで下げると、日本の銀行株は急落しました。

 世界の株式投資家は、今でも相変わらず、日本のメガ銀行株を、金利連動株として扱っていることがわかります。長期金利が上昇すると、利ザヤ拡大の期待から銀行株が上昇し、長期金利が低下すると利ザヤ縮小の懸念で銀行株が下落する傾向が鮮明です。