※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
三菱UFJ・三井住友FGの株価どうなる?欧米の銀行不安は「対岸の火事」?

三菱UFJ・三井住友の「買い」継続

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下「三菱UFJ」と表記)、三井住友フィナンシャルグループ(以下「三井住友FG」と表記)の2社について、筆者は2019年以降、一貫して「強い買い推奨」を継続してきました。その投資判断は今も変わりません。

 買い推奨の理由は以下2点。

【1】配当利回りの高いディープ・バリュー株(株価指標で見て極めて割安な株)であること。
【2】海外事業拡大・ユニバーサルバンク経営によって安定的に高収益をあげるビジネスモデルができあがっていると考えること。

 2023年に入り、国内の金利上昇を好感して株価が急騰した時、短期的に株価が過熱していることを懸念しました。長期的な投資判断は一貫して「強い買い」で変わりませんでしたが、短期的には過熱した株価に注意が必要でした。ところが、3月に入って欧米の金融不安が波及して2社とも株価が急落しました。これで、投資価値は一段と高まったと考えています。

 ただ、欧米の金融不安は日本の銀行にとって「対岸の火事」とは言えません。致命的なダメージとはなりませんが、日本の銀行にもマイナス影響はあります(後段で解説)。

 欧米の金融不安は根が深く、すぐに解決するとは思えません。短期的には三菱UFJ・三井住友FG株にも下値リスクが残ります。ただし、長期的には良い買い場を迎えていると判断しています。

2社ともディープ・バリュー株

 2社とも、3月28日時点でPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)が低く、予想配当利回りが高く、株価指標から見て極めて割安なディープ・バリュー株と言えます。

2社の株価バリュエーション:2023年3月28日時点

コード 銘柄名 株価
:円
配当
利回り
PER
:倍
PBR
:倍
8306 三菱UFJ FG 839.6 3.8% 10.1 0.60
8316 三井住友 FG 5,273.0 4.4% 9.1 0.56
出所:両社決算資料より楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは2023年3月期1株当たり年間配当金(会社予想)を3月28日株価で割って算出。1株当たり配当金は、三菱UFJ32円、三井住友FG230円。PERは、3月28日株価を2023年3月期1株当たり利益(会社予想または会社目標)で割って算出