勢い付く、米シェールガスの生産

 以下は、米国の天然ガスと原油の生産量の推移です(米国全体とシェール主要地区)。2010年ごろから、シェール革命がはじまり、ともにシェール主要地区の生産量が急増しはじめました。それにともない米国全体の生産量が増加しはじめました。

 2014年後半から2016年末にかけて発生した原油相場の急落・低迷「逆オイルショック」の影響で、一時的に生産量が減少する場面があったものの、2017年以降、増加に転じました。その後、2020年春のコロナショックで減少するも、再び増加に転じました。

 コロナショック後は、特に天然ガスの生産量増加に勢いがあります。天然ガスの生産量はコロナ前の水準を上回り、現在も顕著な増加傾向が続いています。化石燃料の中でも、比較的、燃焼時に排出される二酸化炭素の量が少ないとされる天然ガスは、「脱炭素」が進む米国で重用される存在です。

 原油は電気自動車(EV)の普及が始まったことで、超長期視点の需要減退が意識されはじめている、政策的に原油を使うことを否定するムードがあるなどの影響で、勢いを伴った生産増加が発生するムードはないように感じます(とはいえ、増えないわけではない)。

 グラフから分かるとおり、天然ガスの生産量の増減の波は、原油の波に比べて、小さいです。これは、「脱炭素」下でも、一定の強い堅調な需要があるためだと、考えられます。

図:米国の天然ガスと原油生産量の推移

出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成