※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
なぜ銅相場は高騰しているのか?

非鉄金属価格は過去の常識で語れない

 2020年ごろから断続的に、筆者の元に「金属の盗難」に関する問い合わせが寄せられています。盗難が相次いでいる背景の一つに、銅の国際相場が高騰していることが挙げられています。

 今回のレポートでは、問い合わせの際に解説している銅相場高騰の背景をまとめます。(銅相場高騰以外の盗難が相次いでいる要因や、日本でとられている対策の現状、今後望まれる像についての筆者の考えなどは、次回以降のレポートで述べます)

図:非鉄金属の国際価格の推移 単位:ドル/トン

出所:世界銀行のデータを基に筆者作成

 上のグラフのとおり、銅の国際相場(赤線)は高騰しています。1トン当たり1万ドル近辺は史上最高値水準です。銅のほか、同じ非鉄金属であるアルミニウム、鉛、亜鉛、スズ、ニッケルなどの価格も上昇しています。

 グラフから読み取れることは、1980年ごろから2000年ごろまでの値動きとそれ以降の値動きは本質的に違う、ということです。過去の常識で今の非鉄相場を分析することはできないのです。「変動幅が急激に拡大したこと」と、「底値水準が大幅に上昇したこと」に着目することで初めて、現在の銅や非鉄相場が何を根拠に動いているのかが見えてきます。