投機資金の原資はまだまだ潤沢

 以下は、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の資産の額の推移です。足元の水準はリーマンショック直前の7倍程度であることが分かります。

図:FRBの資産の額 単位:10億ドル

出所:FEDERAL RESERVE SYSTEMのデータを基に筆者作成

 2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック後、FRBは大規模かつ急激に傷んだ景気を回復させるべく、大規模な金融緩和を行いました。中央銀行の緩和策は大きく二つあり、一つは金利引き下げ(まさに今議論されている)、もう一つは米国債などの資産の買い取りです。

 FRBの資産の額を示す上のグラフは、FRBがどれだけ資産を買い取ったのかを示しています。FRBが金融機関などから米国債を買い取ると、FRBの資産が増えます(グラフが上向く)。同時に、金融機関が保有する資金が増えます。この増えた資金がいわゆる「投機資金」の原資になります。つまりこのグラフは、金融機関が保有している投機資金の量を示しているともいえます。

 現在の水準は先述のとおり、リーマンショック直前の7倍程度です。コロナショック後に行われた資産の買い取りが終了し、今は逆に資産の売却が進んでいますが、それでもまだ高水準です。

 隙があれば流入して利益を上げようとする投機資金の存在によって、銅や非鉄相場は、まだしばらく変動幅が大きい状態が続く可能性があります(流出した場合は相場急落が起きる可能性もある)。