変動幅拡大・底値切り上げがポイント

 短・中期的には、銅や非鉄の値動きは米国や中国の経済指標や株価指数の動向、米国の金融政策の方向性に影響を受けることが多いですが、歴史的な高値水準で推移していることを考える上ではやはり、現代の特徴である「変動幅が急激に拡大」と、「底値水準が大幅に上昇」を考慮する必要があります。これらを分解すると、以下のようになります。

図:非鉄金属価格が長期視点で高騰している理由

出所:筆者作成

「変動幅が急激に拡大」した背景には、不確実性の高まりがあります。リーマンショックやコロナショック後の大規模な金融緩和で大量に発生した投機資金が流入していること、鉱山での障害発生や物流の目詰まり、天災・疫病起因の供給障害が断続的に発生していることで相場に圧力がかかっていることは、不確実性を高める出来事と深い関係があります。

 また、「底値水準が大幅に上昇」した背景には、後戻りしない材料が発生したことが挙げられます。

 新興国を中心に人口増加が続いており、インフラ整備に銅や非鉄が多用されていること、EV(電気自動車)関連の需要や、AI(人工知能)関連のインフラ・電子機器向け需要が膨張していること、西側と非西側の分断が供給減少懸念をもたらしていることは、相場を根底から支えて底値水準を大幅に上昇させた原動力だといえます。

 次より、「変動幅が急激に拡大」と「底値水準が大幅に上昇」の具体的な事例を確認します。