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著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
産油国の詩(ポエム)は高インフレ継続を示唆

自主減産縮小でも大増産は起きない

 OPEC(石油輸出国機構)は現在、一部の非加盟国と共に原油の減産を実施しています。2017年1月にはじまった協調体制を彼ら自身、DoC(協力体制 Declaration of Cooperation)と呼んでいます(自らをOPECプラスとは呼んでいない)。

図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量

出所:ライスタッドエナジー、JODIのデータおよびOPECの資料を基に筆者作成

 減産に参加しているOPECプラスの原油生産量のイメージは上記のとおりです。自主減産を段階的に終了することとなったものの、大幅に順守している状態にある協調減産は2025年12月まで継続することが決まっています。

 図のとおり、自主減産が縮小し、仮に生産量が上限一杯に達したとしても、2018年や2019年の生産水準を上回ることはありません。後述しますが、彼らは強い覚悟で減産を行っており、生産量が上限を超えて減産非順守に陥ることはないと、筆者はみています。その意味では、自主減産の縮小が、大幅な供給過剰をもたらす理由にはならないと言えます。

 彼らは自らの武器である高い生産シェア(およそ54%、2024年5月時点)を利用し、たくみに生産量を調整したり、世論の隙間を縫ったりしています。原油価格を高止まりさせられるように、細心の注意を払いながら生産活動を行っているのが、今のOPECプラスだといえます。

 彼らはなぜ、強い覚悟で減産を行っているのでしょうか。OPECプラスの思想が垣間見える、詩(ポエム)に着目します。