※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
イベントで見えた投資家の不安とプラチナの将来性

「株高」に不安を感じる個人投資家の方々

 7月6日(土)、楽天証券 25th ANNIVERSARY FES ~DAY1:投資戦略フェス~に参加し、たくさんの個人投資家の方々と直接、お話をしました。大変に楽しく、有意義な時間でした。また、筆者は中規模会場と小規模会場でそれぞれ約30分間、講演をする機会があり、個人投資家の皆さまがどの話題に強い関心があるのかを肌で感じることができました。今回のレポートは、同イベントの参加記です。

 当社のサービスの一つである「金・プラチナ取引」を訴求するブースは「駆け込み寺」の様相を呈していました。S&P500種指数やオールカントリー関連の金融商品を保有しているが、米国株が暴落するかもしれず、その不安に対して何か策を講じなければならないと考えている方々が多く集まった印象を受けました。

 同ブースで待機していた筆者を含むスタッフに声をかける方、ブース前で立ち止まって資料を手に取る方、ケースはさまざまですが、会話がはずんで「なぜ金(ゴールド)に興味を持たれたのか?」と聞くことができた方々のほとんどが「今の株高が不安だから」という趣旨の言葉を述べました。中には「(株価が)気持ちが悪いくらい上昇している」と述べた方もおられました。

 教科書的には「株高は好景気の象徴」です。国内外の株価が高騰している今、なぜ不安を感じてしまうのでしょうか。「株価が高いことは悪いことではないように感じますが?」と尋ねると、複数の方から「なぜ高いか分からない」「好景気を実感できない中で株だけが上がっている」という趣旨の返答がありました。

図:S&P500、金(ゴールド)、原油の価格推移(1984年1月を100として指数化)

出所:世界銀行およびブルームバーグのデータを基に筆者作成

 株価が上昇し、ご自身が保有されている金融商品の評価額は増えてはいるものの、その理由が分からず、実感も湧かず、かえって株価が暴落するのではないかという不安が増している、そしてその不安を解決し得る策の一つとして金(ゴールド)に関心を寄せられている、という状況だと感じました。

 こうした声を受け、「もっとポートフォリオを分散したい方へ、コモディティの世界をご紹介!」と題した中規模会場での講演では、重点を置くポイントを変更しました。上の図と下の図は、足元の株高を説明する際に用いたスライドです。

 上の図で、異常とも言える米国株の上昇率が、金(ゴールド)や原油などのコモディティ(国際商品)価格の上昇率をはるかに上回っている様子を説明しました。

 そして下の図を用い、半年から1年程度先の「思惑」を織り込んで推移するとされる株式が、2010年ごろに始まった世界的なスマートフォンの普及に伴うSNSの利用拡大を受けた情報の受け手と発信者の関係の変化をきっかけとした「思惑優先」のムード拡大によって、異常なまでの、理由が定かでない、実感が湧かない暴騰劇を演じていると、説明をしました。

図:情報の受け手と発信者の関係と市場への影響

出所:筆者作成