【参考】日経平均は、景気変動に半年から1年、先行して動くことが多い

 日経平均は、景気循環より先に動きます。過去の経験則では、景気が後退または停滞する半年から1年前に、ピークアウトすることがあります。近年の日経平均の動きを、景気循環と比較してみましょう。

日経平均と景気循環(景気後退期に着色):1999年1月~2021年10月(5日まで)

出所:景気後退期の判断は内閣府。ただし、2018年10月に始まった後退期が2020年6月で終了していると判断したのは楽天証券、紫で囲んだ景気停滞期も楽天証券の判断

 上のグラフには、内閣府の判断に基づく景気後退期に色をつけています。また、景気停滞期(後退ぎりぎりまで悪化したが後退の定義を満たさなかった期間)は紫で囲んでいます。ご覧いただくと分かる通り、日経平均は、景気循環を少し先取りして動くことが多いと言えます。

 日経平均は1999年、景気が回復する中、大きく上昇しました。この時の上昇相場は、「ITバブル相場」と呼ばれます。景気は2000年10月にピークをつけ、2001年は世界的な「ITバブル崩壊不況」に入りますが、日経平均(およびIT関連株)は、ITバブルが崩壊する半年以上前の2000年3月にピークアウトしています。

 2008年には、リーマンショックと呼ばれる世界不況がありました。日本の景気は、2008年2月にピークアウトしていますが、日経平均は、それより8カ月も早い2007年6月にピークアウトしています。このように、日経平均は、景気循環よりも半年から1年、先に動くことがあります。
 2021年に入ってからの日経平均の下落が、次の景気後退を先に織り込む動きか、あるいは、景気回復期の中のスピード調整か、判断が分かれています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2021年6月29日:長期投資で勝つための「景気1サイクル投資」