2022年の世界景気:私が考えるメインシナリオと悲観シナリオ

 米国の2022年の成長率は2~3%に、世界全体の成長率は3~4%に下方修正されると予想しています。それでも、米国2%台、世界全体で3%台の成長が続けば「巡航速度の成長が継続する」と言えます。

 日本および世界の株式市場は、来年にかけての世界経済の減速を織り込み、しばらくスピード調整すると思いますが、減速が織り込み済みとなり、来年も巡航速度の成長が続く見通しが広がれば、日経平均は急反発すると思います。

【1】世界景気が3%台の成長に減速する説(私のメインシナリオ)

 米国株も日本株も、コロナからの回復を織り込む昨年4月以降の上昇ピッチが速すぎたことから、しばらくスピード調整が必要と考えています。スピード調整が済めば、年末にかけて、再び日経平均は3万円に向けて反発すると考えています。

 来年の米国景気は減速するものの、失速・景気後退とはならず、巡航速度の拡大(GDPで2%台半ばの成長)が続くと予想しています。ただし、中国経済は不動産バブル崩壊の影響がじわじわと広がり、さえない1年になりそうです。

 日本の景気は、中国景気悪化のマイナス影響を受けつつも、米景気拡大が続く恩恵や、コロナ感染が減少する恩恵を受けて、ゆるやかな回復が続くと予想しています。そのシナリオを前提とすると、来年日経平均は3万2,000円~3万5,000円に上昇すると予想します。

【2】世界景気悪化説(悲観シナリオ)

 来年の米景気は失速(GDP:国内総生産で1%台の成長まで低下)。リベンジ消費(コロナ禍でできなかった消費がまとめて出ること)が一巡、消費減速が鮮明になる中、財政のガケ(財政支出減少)、コスト・プッシュ・インフレ(原材料費などコストの上昇が原因で発生するインフレ)などのマイナス影響も出る恐れがあります。中国景気も悪化します。恒大破綻が引き金となって、不動産の投げ売りが始まり、恒大以外の大手不動産へ信用不安が波及する恐れがあります。

 悲観シナリオを前提に考えると、日経平均は過去の経験則から少なくとも20%以上、下げると考えられます。その場合、日経平均は2万4,000円台まで下がることになります。