相場が崩れたわけではない。値動きの目安は?

 ただ、もう少し細かく見ていくと、実際の日経平均は意外(?)に冷静だった可能性があります。

■(図2)日経平均(60分足)のフィボナッチ分析とエリオット波動(2021年9月24日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、日経平均の60分足の推移です。年初来安値をつけた8月20日の後場を起点に、年初来高値を更新した9月14日の前場までの上昇幅を元に描いた「フィボナッチ・ファン」と、相場の動き(波)をエリオット波動論の考え方に従って描いています。

 まず、先週の日経平均の動きが、フィボナッチ・ファンの38.2%ラインを意識しているように見えるほか、エリオット波動についても、先週の下落によって、第3波の上昇幅の38.2%押しを達成しているため、第4波が完成し、先週末24日(金)の動きが第5波に入ったと思わせる動きになっています。

 もちろん、今週の相場が軟調となれば、24日(金)の上昇が第5波ではなく、第4波が継続する修正となる可能性はありますが、フィボナッチ・ファンの50%ラインや61.8%ラインがサポートとなって、再度第5波を形成していくシナリオも残されています。

 いずれにしても、60分足で見た日経平均の値動きはテクニカル分析の考え方に比較的沿ったものとなっており、たとえ株価材料に反応する格好で「窓」空けが多くなっていたとしても、相場自体は「右往左往し、慌てふためいている」というわけではなさそうです。

 その一方で、日経平均は図1を見ても分かる通り、足元の株価と25日移動平均線とのあいだに距離が残されているため、前回のレポートと同じく、25日移動平均線乖離(かいり)率をボリンジャーバンド化したものが、値動きの目安として機能しそうです。

■(図3)日経平均25日移動平均線乖離率のボリンジャーバンド(2021年9月24日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡのデータを元に筆者作成

 図3の25日移動平均線の乖離率やボリンジャーバンドの値は日々変化していきますが、先週末24日(金)時点で計算すると、2万7,531円~3万1,703円が値動きの範囲の目安になります。