今週のポイント

 いずれにしても、今週の相場は中国恒大集団(エバーグランデ・グループ)の動向次第になります。

 同社については、利払い日が相次ぐことで警戒感が高まっていますが、デフォルト懸念自体は、中国当局が昨年8月に、経済の不動産に対する依存度を下げ、不動産開発会社の借り入れを制限する方針を掲げたあたりから一部で指摘する声があり、以前からくすぶっていました。

 また、最近の中国当局は、IT大手企業やゲーム業界、教育産業、芸能界、カジノ業界とあらゆる分野への締め付けや介入が目立っています。不動産業界もそのひとつなのですが、中国当局のこうした一連の動きの背景には、来年(2022年)の共産党大会に向けた地ならしがあります。

 習近平氏は、その党大会で、これまでの「2期10年」の国家主席の任期の慣例を打破し、3期目の就任を目指しており、そのためには、民衆の支持と現体制の維持、正当化や成果をアピールする必要があります。

 不動産業界がターゲットになったのも、住宅価格の高騰が所得格差拡大の一因となっているという不満をそらすという意図があるとされています。中国当局にしてみれば、本来のねらいに反して、中国恒大集団の債務問題がここまで大きくなってしまうことは想定外だったのかもしれません。

 同社の負債総額は約2兆元(約33.5兆円)とも言われ、中国の名目GDP(国内総生産)の約2%の規模感なのですが、この巨額の債務は、本業の不動産経営だけではなく、同社の無謀な事業多角化と拡大方針が招いた面が大きいとされています。

 タイムスケジュール的にも、直近で利払いが相次ぐことや、10月1日の国慶節(建国記念日)も近いため、当局から何らかの対応策が出てくるかもしれません。

 仮に、中国当局が同社を救済した場合、国内外の金融市場は早期に落ち着くかもしれませんが、その内容によっては、国内の不満の高まりなど、政治的には色々と禍根を残すことも考えられ、経済的なインパクトだけで片付けられない可能性があります。

 そのため、中国をめぐる情勢の不安定さが持続してしまう展開には注意しておく必要がありそうです。