バフェット氏が愛妻に助言する米国株投資とは

 本稿では、米国で「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏(90歳)の投資助言に注目したいと思います。同氏は、CEOを務めるバークシャー・ハサウェイ社での分散投資で莫大(ばくだい)な資産を築き上げてきました。

 そのバフェット氏は、「愛妻に残す遺産の9割をS&P500指数のインデックスファンドに投資してほしい」と助言しています。

 奥様だけでなく、投資初心者に対してのメッセージとしても有名です。本年5月に実施されたバークシャー・ハサウェイの株主総会(質疑応答)でも、同氏は「アクティブファンドと比較してコストが低いS&P500指数連動型インデックスファンドへの長期投資」を勧めました。

 S&P500指数とは、米国の時価総額加重平均を代表する指数で、企業価値の成長期待が高い(時価総額が大きい)500社で構成されています。

 現在は、GAFAM(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)が時価総額ウエートの上位5社を占めています。

 米国を代表する企業群に分散投資することは、世界最大手企業群に分散投資することと同等で、世界経済の成長から恩恵を得るグローバル企業に分散投資することも意味します。

 図表3は、約30年前(1991年初)を起点にしたS&P500総収益指数のパフォーマンスを、世界株式総収益指数や日本株式(TOPIX[東証株価指数]総収益指数)と比較したものです。総収益指数とは、四半期や半期ごとに支払われる配当を再投資したベースのトータルリターン指数です。

<図表3:米国株式の長期総収益を検証する(市場実績)>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1991年初~2021年6月)

 S&P500総収益指数は約30年で約23倍となり、世界株式や日本株式より優勢であったことがわかります。

 バフェット氏が(奥様を含め)投資初心者にS&P500指数に連動するインデックスファンドを勧める理由は、こうした優れたパフォーマンスや米国株に対する長期的な成長期待があるとされます。

 バフェット氏は、アクティブ投資(個別銘柄の選択にこだわる投資手法)にかかるリスクとコストについても言及してきました。

 米国株式投資を検討するにあたっては、市場全体をカバーする時価総額加重平均指数に連動を目指すインデックスファンドを資産形成のコアに据えたいと思います。