5~10%の株安は正常な調整

 実際、2009年の景気後退(マイナス成長)は4-6月期まで続き、雇用統計の失業率が10%でピークをつけたのは同年10月でした。その後、米国経済は徐々に回復基調をたどり、堅調だった株価は2010年5月から7月にかけ調整場面を迎えました。

 その後は9月から年末高に向かい同年の高値を更新した市場実績がわかります。2011年、2012年、2013年も5月あるいは6月に株価波乱がみられましたが、相場はリスク(株価変動)を乗り越え堅調トレンドに回帰したことがわかります。

 なお、当時のFRBが政策金利(現在と同様のゼロ金利:上限目標0.25%)を初めて引き上げたのは2015年12月でした。一方、2009年から2013年の長期金利(10年国債利回り)は1.5%から4.0%の範囲内で上下しました。

 株式市場は一本調子で上昇し続けるということはありません。株高が休みなく続けば、バブルが醸成されその反動も大きくなります。

 季節性にかかわらず、大小の株安を挟む相場が健全と考えられます。米国市場では直近高値から5~10%の株安は「ノーマル・コレクション」(正常な株価調整)とみなされます。

 株価調整と向き合うにあたっては、「リスクはリターンの源泉なり」(リスクがあってこその長期リターン)との基本を再認識して冷静に対応したいと思います。

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