世界経済の正常化と業績見通し改善は変わらず

 残念ながら、日本では感染再拡大、緊急事態宣言、ワクチン接種の遅れなどが景気回復を遅らせています。

 ただ、国内株式(東証時価総額上位企業群)の収益全体のうち約6割を外需(対外輸出や直接投資先からの連結収益)が占めており、「日本株=世界の景気敏感株」との認識が広まっています。

 足元の需給悪化と日柄調整を消化した後は、米国と中国を中心とする世界経済の再開と正常化期待をあらためて評価していく可能性が高いと考えています。

 図表2は、民間エコノミストが予想する世界、米国、中国の実質GDP成長率の実績と市場予想平均を示したものです。

 米中の実質成長率は1-3月期もプラスを維持し、4-6月期のGDPはコロナ危機前の水準を上回ると予想されています。2020年の落ち込みを取り返し、2021年と2022年の実質成長率は高い伸びが見込まれています。

 米国では需要の急回復と供給遅れによる一時的な物価上昇で、インフレと長期金利の上昇不安が今後も株式市場を乱高下させる可能性があります。ただ、積極的な財政出動とワクチン接種普及を受けた経済の正常化を受け業績見通しは改善傾向をたどっています。

<図表2:米国と中国を中心とする世界経済の正常化は変わらず>

*2021年と2022年の実質GDP成長率予想=Bloomberg集計によるエコノミスト予想平均
出所: Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年5月19日)