4-6月期に販売不振も下期の回復に期待、長期的にプレミアム化戦略継続へ

現地コード 銘柄名
00291

華潤ビール控股

(チャイナリソーシズ・ビア)

株価 情報種類

26.35HKD
(7/11現在)

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 消費意欲の低迷や悪天候による業務用需要の縮小を受け、中国のビール最大手、華潤ビールは2024年4-6月期に販売不振に直面した。ただ、BOCIはピークシーズンに向けた積極的な販促活動や前年同期実績の変動によるベース効果を理由に、7-9月期以降の売れ行き回復と平均販売価格の上昇を見込む。同社株価は過去2カ月で30%近く下落したが、マイナス材料はすでにほぼ反映されたとみて、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。2023-26年の予想増益率が年率平均14.4%に達することを考慮すれば、2024年予想PER(株価収益率)14倍以下という現在株価のバリュエーションは魅力的な水準にあるとしている。

 BOCIの予想では、同社の2024年上期のビール売上高は前年同期比10%台前半の幅で減少した。平均販売価格が前年同期比1桁台前半の上昇を示す半面、販売量が1桁台半ばの幅で落ち込んだため。サブプレミアム以上の高価格帯の販売量は全体の約25%を占めたとみられ、特に販路を強化した「ハイネケン」のほか、「Snowドラフト」「勇闖天涯Super X」が好調だった。長期的には、同社はプレミアム化戦略を継続する方針。経営陣によると、「Snowドラフト」は2025年までに、「ハイネケン」は2026-27年までに、それぞれ100万キロリットルの販売目標を達成する見通しという。

 2024年通期について、経営陣は販売量のプラス成長を予想(BOCIの予想は前年比0.2%増)。平均販売価格は1桁台前半から半ばの上昇率(同3.1%上昇)、サブプレミアム以上の高価格帯の販売量に関しては10%台前半の伸びを見込む(同12%増)。BOCIはベース効果やパリ五輪などスポーツイベントの開幕、エルニーニョ現象の再来に伴う7-9月期の高温観測を理由に、下期にはビール消費量が回復するとの見方。採算面では、平均販売価格の上昇や原材料価格の軟化が追い風となり、粗利益率が改善するとみる。2024年通期のビール部門のコアEBIT(利払い・税引き前利益)については、前年比22%増を予想。粗利益率は2.3ポイント上昇するとみている。

 一方、経営陣によれば、白酒(パイチュウ)の2024年通期の販売額は前年比40%増える見込み。傘下の貴州金沙窖酒には全国的な「醤油風味」人気が追い風。ただ、白酒需要はマクロ経済動向に左右されやすく、底打ちまでには時間がかかる可能性がある。

 BOCIは同社全体の売上高とEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が、2023-26年にそれぞれ年率平均5.4%、10.6%増加すると予想。2024-26年の予想EPS(1株当たり利益)を1.79元、2.09元、2.38元に設定した。2024年予想PER18.0倍を当てはめて目標株価を大きく引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては市場競争の激化や業務用需要の回復ペースの鈍化、投入コスト圧力の増大などの可能性に言及している。