政府刺激策の恩恵でさらなる再評価に期待、競争環境下で成長軌道を維持

現地コード 銘柄名
09987

百勝中国

(ヤム・チャイナ)

株価 情報種類

356.80HKD
(10/10現在)

株価
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 投資家心理が急速に持ち直す中、中国の外食チェーン大手、ヤム・チャイナの株価は過去1カ月間に31%上昇した。BOCIは優れた実行力を伴う発展型のビジネスモデルを理由に、同社の成長見通しを楽観し、さらに配当や自社株買いを通じた積極的な株主還元策を評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは同社のフランチャイズ・システム全体の売上高(以下「システム売上高」、為替要因を除く)について、2024年7-9月期に前年同期比1桁台後半の伸びを予想。営業利益は約0.5ポイント改善するとみている。2024年の出店目標は1,500-1,700店舗で、設備投資計画は7億-8億5,000万米ドル。経営陣によれば、営業利益は2023-26年に、年平均1桁台後半から10%前半の伸びを示す見通しという。

 2024年4-6月期の売上高は前年同期比0.9%増の26億7,900万米ドル。既存店売上高は4%減少したが、出店加速による効果でシステム全体の売上高は4%増。営業利益率は0.2ポイント改善し、純利益は7.6%増の2億1,200万米ドルだった。

 チェーン別では、「KFC」の4-6月期のシステム売上高が5%増。店舗数は期末に13%増の9,740店舗に達したが、客単価の低下が響き、既存店売上高は3%減少、営業利益は3.3%減の2億6,400万米ドルだった。経営陣は客単価の安定化を見込むが、BOCIは消費意欲の低迷やコスパ重視戦略から、2025年にかけて若干の低下を予想している。

「ピザハット」の4-6月期のシステム売上高は1%増。店舗数は14%増の3,341店舗。客単価の縮小で既存店売上高は8%減少したが、BOCIは単価の低下による市場シェアの拡大効果を見込む。営業利益は4,000万米ドルだった(前四半期3,500万米ドル)。

 一方、主に二つの新規ビジネスについて、BOCIは独自のポジションにあるとして前向きに評価している。一つはKFC全店に併設している「K Coffee」。上期には1億2,000万杯(前年同期比36%)を販売し、売上高は26%増の10億元超を記録した。高コスパかつ革新的なメニューが特徴で、KFCとのキッチンの共有により、投資・運営費を最小限に抑えることができる。もう一つは「ピザハットWOW」。簡明な運営方式と豊富な品ぞろえ、高コスパを売りとするWOWを、同社は飛躍のチャンスと捉え、積極的に店舗網を拡大。7月に100店舗を突破し、年末には200を超える可能性が出てきた。

 経営陣が繰り返しコスト削減に言及する中、BOCIは同社システムの利益率が約16%で安定し、一般管理費の対売上高比率は約5.0%(2023年は5.8%)に改善するとみている。2023-26年の総売上高とEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は年平均6.1%、8.8%増加すると予想し、向こう3年の予想EPS(1株当たり利益)を前年比17.6%増、14.8%増、13.2%増の2.34米ドル、2.68米ドル、3.04米ドルに設定。2025年の予想PER(株価収益率)20.0倍をベースに目標株価を設定し、同社を外食セクターのトップピックとしている。