2021年の企業業績は過去最高益を更新する見込み

 米国株高を支えている一翼として「業績見通しの改善」にも注目です。

 本年の米国経済については+6%超の実質成長率が見込まれており(エコノミスト予想平均)、IMF(国際通貨基金)は最新見通しで+6.5%と予想しています。昨年の落ち込み(▲3.3%)を補う以上の成長が見込まれています。こうした経済見通しに沿い、企業業績も急改善する見込みです。

 図表3は、S&P500指数ベースのEPS(1株当たり利益)の実績と見通し(市場予想平均)を示したものです。増収、利益率改善、自社株買い効果が重なり、2021年のEPSは前年比42.6%増益となり、2019年に記録した最高益を更新する見込みです。

 2021年の増益率は、トランプ政権下の法人減税効果による2018年増益(+19.9%)を上回り、2022年も2023年も二桁増益が見込まれます。「株価は業績」と言われるように、利益見通しも株高要因です。

<図表3:米国市場の業績は2021年に最高益を更新する見込み>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年4月21日)

 図表4は、S&P500・10大業種別株価指数をベースに、(1)2021年と2022年の予想PER、(2)2021年、2022年、2023年の予想増減益率(予想EPSの前年比伸び)、(3)2019~2023年予想増減益率を一覧にしたものです。コロナ危機前(2019年)のEPSに対して2023年予想EPSがどの程度成長するかを示す(3)の降順に並べました。

 その結果、市場平均(S&P500指数)ベースのEPSが2019年実績から2023年まで47.1%成長する予想であるのと比較し、セクター別にはコミュニケーションサービス(+69.4%)、ヘルスケア(+66.5%)、情報技術(+66.1%)、素材(+65.2%)、一般消費財・サービス(+52.7%)に高い利益成長率が見込まれています。

 なお、コミュニケーションサービスの構成銘柄にはアルファベット(グーグル)、フェイスブックが含まれ、一般消費財・サービスの時価総額最大銘柄はアマゾン・ドット・コムです。

 IT(情報技術)にはアップル、マイクロソフト、エヌビディアなどのテクノロジー系大手企業が含まれます。

 広義のDX分野で時価総額が大きい主力企業が市場全体の利益成長をけん引していくと見込まれます。IT関連に加え、個人消費関連やヘルスケア関連が高い利益成長を維持し米国株式の堅調をリードすると考えられます。

<図表4:「コロナ危機前」よりも利益を大きく伸ばすセクターは?>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年4月21日)

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