ナスダック相場の底入れはFOMCと長期金利の行方が鍵

 上述したように、景気回復期待と長期金利上昇に伴うスタイルローテーション(循環物色)の副作用を被り、ナスダック100指数に象徴されるテクノロジー株やグロース株は総じて値を崩しました。

 ただ、長期金利(10年国債利回り)は3月5日のザラ場で付けた1.62%をピークにやや落ち着きもみせています。債券市場はFRBの金融政策に疑心暗鬼となっていますが、2月の雇用統計発表や1.9兆ドルの追加経済対策が成立する見通しとなったわりには、金利上昇のピッチが強まる動きになっていません。

 ナスダック総合指数もナスダック100指数も直近高値から10%超下落した経緯もあり、グロース株の反動売りが一巡すれば値ごろ感に注目する買い戻しや押し目買いが底入れにつながる可能性はあると考えています。

 そうした局面で注目されそうな視点として、市場平均(S&P500指数)と比較した「利益成長見通し」の強さが挙げられます。

<図表4:ナスダック主力株の成長期待は相対的に力強い>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年3月10日)

 図表4は、ナスダック100指数とS&P500指数をベースにした予想EPS(12カ月先予想EPS:市場予想平均)の推移を示したものです(2016年初=100)。直近の好決算や良好な業績ガイダンス(見通し)を反映し、ナスダック100指数ベースの予想EPSは過去最高を更新しています。

 金利低下と潤沢な流動性が押し上げた予想PER拡大は一巡しましたが、予想EPSの回復や拡大が重視される「業績相場」にはナスダック主力株も参加する可能性はあります。

 コロナ禍でダメージを受けた景気敏感株やバリュー株へのローテーションが落ち着けば、「アフターコロナ」でも強い利益成長が見込まれるGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)などDX主力株についても、長期の時間軸に立った見直しが進む可能性があります。

 その反転のきっかけとなりそうな材料として、来週開催されるFOMCの結果と長期金利の反応を注視したいと思います。FRBが債券市場や株式市場のどういったメッセージを発信するのかに感心が高まっています。あらためて、「政策に売りなし」や「Don’t fight the FED」(FRBに逆らうな)などの格言に注目したいところです。

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