市場は「アフターコロナ」の経済正常化を視野に入れている

 米国の新型コロナウイルス感染動向はピークアウトを鮮明にしています。図表2は、米国の「新規感染者数の1週間増加数」と「入院者数」の推移を示したものです。

 感染者増加数も入院者数も減少傾向にあり、ともに昨年10月末以来の水準に低下。感染数が増加しやすかった冬季を終え、全米規模の移動制限や営業自粛が効果を発揮したことを示しています。

 バイデン政権は、J&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)のワクチン実用化を契機に、「5月末までに米国の全成人分(約3億人分)のワクチンを確保・供給できる」と表明(3月2日)。

 従来の「7月末までに」との見通しを前倒ししました。医療従事者や高齢者に続き、学校再開に向けて「3月末までに教職員が少なくとも1回目のワクチンを接種することを目指す」としています。

 変異種の感染拡大などに予断を許しませんが、金融市場はワクチン効果期待とあわせて「アフターコロナ」の経済活動正常化を視野に入れ始めています。債券市場における長期金利の上昇傾向は合理的な事象と言えるでしょう。

<図表2:米国の感染動向はすでにピークアウト>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年3月10日~2021年3月5日)