高値を更新する米国株式は長期金利上昇を軽視できるか
内外市場では今週もリスク選好となりました。日経平均株価は3万円の大台を回復しましたが、MSCI株価指数で比較すると、米国株式や外国株式は最高値を更新しました(図表1)。
米国市場では「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」(As long as the music is playing, you've got to get up and dance)との言葉が知られています。サブプライム問題(信用度の低い個人向け住宅ローンの焦げ付き)が憂慮され始めた2007年当時のシティグループCEO(チャック・プリンス氏)の言葉とされます。
「株高はバブルか否か」が議論される今も、相場が強気であるうちは「先に降りるわけにはいかない」との心理が株高基調を支えています。
一方、慎重な投資家は米国市場での長期金利上昇を警戒しています。昨年春にスタートした「不景気(不況下)の株高」と呼ばれる流動性相場(金融相場)は、業績相場に移行する過渡期でいったん調整場面を迎える可能性があります。
FRB(米連邦準備制度理事会)の政策姿勢変更を予感した市場金利上昇が株式市場に一時的調整を迫りやすい場面とも言えます。市場金利の上昇は、資金調達コストの増加と同時に、実体経済での資金需要が増大することも意味します。
これまでの景気刺激策では市場金利の上昇も限定的でしたが、コロナ禍の落ち着きと追加刺激策の行方次第では神経質な相場展開も予想されます。
<図表1:世界株高にいったんのスピード調整も>